JRA 日本ダービー(G1)コントレイル「牡馬・牝馬同時2冠」も視野に……スティルインラブとネオユニヴァース以来17年ぶりとなる記録達成へ
今週末には競馬の祭典日本ダービー(G1)が開催される。残念なことに無観客でのレースとなるが、福永祐一騎手とタッグを組む皐月賞馬コントレイルの“無敗の牡馬2冠”もかかっていることもあり、例年以上の盛り上がりを見せそうだ。
今年はすでにデアリングタクトが、桜花賞(G1)&オークス(G1)の牝馬2冠を達成。コントレイルがダービーを勝てば、牡馬・牝馬同時2冠が達成されることになる。これは2003年のスティルインラブとネオユニヴァース以来のことだ。今回はその記録樹立のカギを握っていたネオユニヴァースの軌跡を振り返りたい。
03年にネオユニヴァースは福永騎手を背にきさらぎ賞(G3)を快勝。だが、福永騎手はお手馬に前年の朝日杯フューチュリティS(G1)を制したエイシンチャンプがいた。福永騎手がエイシンチャンプを選択したため、ネオユニヴァースは短期免許制度を利用して来日中だったM.デムーロ騎手に乗り替わることになった。
デムーロ騎手と初タッグを組んでスプリングS(G2)に向かったネオユニヴァースは、レースで早めの仕掛けを見せると、1番人気に支持されていたサクラプレジデントに1馬身4分の1差をつけて勝利。皐月賞に歩を進めた。
皐月賞でネオユニヴァースとデムーロ騎手は1番人気に支持された。中団追走から最後の直線を迎えると、サクラプレジデントとの熾烈な叩き合いを制して優勝。2着とはアタマ差の接戦を見事に制した。なお福永騎手のエイシンチャンプは、3馬身半差の3着に終わっている。
そして日本ダービーに挑戦。重馬場の中で行われた1戦で1番人気に支持されたネオユニヴァースとデムーロ騎手は、まず後方待機。そして3角から、荒れていたためにライバルたちが選ばなかった内をあえて選択して進出した。最後の直線では先に抜け出したゼンノロブロイを捉えると、そのまま交わして優勝。1997年のサニーブライアン以来、6年ぶり14頭目となる皐月賞、ダービーの2冠制覇を達成。またデムーロ騎手は史上はじめて日本ダービーを制した外国人騎手となった。
「その後、スティルインラブは秋華賞(G1)も制して牝馬3冠を達成しました。ですが、ネオユニヴァースはダービー後に向かった宝塚記念(G1)で、“古馬の壁”に跳ね返されて4着。秋は前哨戦の神戸新聞杯(G2)を3着で終え、菊花賞(G1)ではザッツザプレンティ、リンカーンらに敗れて3着。3冠を逃すことになりました。
もしコントレイルがダービーを勝利することになれば、史上初『無敗の牡馬・牝馬同時2冠』の偉業が達成されることになります。そのキーマンとなるのが、かつてネオユニヴァースを選ばなかった福永騎手というのもなにかしらの縁を感じますね。
また気が早い話になりますが、コントレイルがここを勝てば史上初となる牡馬・牝馬同時3冠への道も見えてきます。春のクラシックに出走した馬が秋には古馬G1に挑戦することも増えているので、可能性は低いですが、夢が広がることは確かです」(競馬誌ライター)
コントレイルはデアリングタクトに続いて2冠を達成し、牡馬・牝馬同時無敗2冠を達成することができるだろうか。