JRAライバル騎手も「お膳立て」!? あまりに出来過ぎたコントレイルの日本ダービー(G1)圧勝劇
今年の日本ダービー(G1)を単勝1.4倍という断然人気で勝利を飾り、皐月賞(G1)に続き無敗2冠を制したコントレイル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)。
陣営も想定していなかった後方から外を回して差し切り勝ちを収めた皐月賞とは一転して、ダービーでは予定通りに先行抜け出しの横綱相撲で府中の直線を突き抜けた。
3枠5番の絶好枠からスローの3番手につける万全の位置取り。インコースをロスなく追走し、直線入り口でバテた馬を避けるために外に出すだけの危なげないレース運びだった。
勿論、コントレイルの絶対的な能力の高さと鞍上の福永祐一騎手のエスコートがあっての勝利であることに違いはないが、ここまでの楽勝を許してしまったライバル騎手の騎乗も無敗の2冠馬誕生の”お膳立て”をしてしまったのではないか。
逃げると見られていたウインカーネリアンが行ったものの、同じく前で競馬をすると見られたビターエンダーは後方からの競馬を選んだ。ウインカーネリアンに続いたコルテジア、ディープボンドが隊列をそのまま維持したことも、ペースが上がらない原因となった。速い時計が出やすい現在の東京の馬場を考えると1000m通過61秒7は超スローといえるタイムかもしれない。
また、最大のライバルと目されたサリオスが積極策を取った皐月賞とは一転して後方待機策を選択したことも見逃せない。力の差を感じさせられた皐月賞の敗戦から逆転を狙っての作戦だったかもしれないが、むしろスローペースで楽をしていたコントレイルに比して、後方から外を回す競馬となっては完敗もやむを得ない結果だろう。
唯一、スローの展開に一石を投じたのが玉砕覚悟の大マクリを決めた横山典弘騎手のマイラプソディだった。だが、福永騎手が「やはり来たかという形で冷静に受け止められました」とコメントしたように影響は小さかった。
「コントレイルの福永騎手にすれば、スローペースをただ『回って来るだけ』で勝てたレース内容でした。言葉は乱暴ですが、断然人気のコントレイルを負かしてやろうという気概を他の騎手から感じられなかったことも大きいかもしれません。結果的に皐月賞と同じくコントレイルとサリオスの2頭で決着したダービーですが、今回は物足りなさも感じてしまいます」(競馬記者)
ダービーのコントレイルは内と外の違いはあれど、ヴィクトリアマイル(G1)を圧勝したアーモンドアイを彷彿とさせる内容だった。
秋は国内に専念し、3冠を目指すことが明らかになったコントレイル。
菊花賞(G1)も危なげないレースで3冠を成し遂げてしまうのか。
無敗の王者に対し、このまま無抵抗に終わらないためにも、ライバル陣営の奮起に期待したい。