JRA・M.デムーロ「主戦降板」の真相!? 安田記念(G1)アドマイヤマーズ「昨年騎乗0」川田将雅の違和感と、新アドマイヤ体制に生まれた確執とは
アドマイヤマーズ陣営は、4月早々に川田将雅騎手との新コンビを発表。デムーロ騎手は他の有力馬に乗り替わりどころか、安田記念に騎乗馬がいない有様である。
「表向きは昨秋の富士S(G3)で1番人気を裏切って惨敗したことが、乗り替わりの原因として挙げられています。現にデムーロ騎手がアドマイヤマーズに騎乗したのは、ここが最後。次走の香港マイルではC.スミヨン騎手が騎乗し、今年予定されていたドバイターフ(G1)でも引き続きスミヨン騎手が予定されていました。
デムーロ騎手もラヴズオンリーユーとのコンビでドバイシーマクラシック(G1)参戦が予定されていたのですが、この時点ですでにアドマイヤマーズの主戦を降ろされていたことになります。
ただ、残念ながらドバイターフは新型コロナウイルスの影響で中止に。国内の安田記念なら、順当にデムーロ騎手が騎乗すると思われたのですが……」(競馬記者)
実際にデムーロ騎手のアドマイヤマーズに対する思い入れは、相当なものだったようだ。
一昨年夏のデビュー戦から昨秋の富士Sまで8戦連続で誰にも手綱を譲らなかったことに加え、昨年の皐月賞(G1)では同じく自身が主戦を務めたサートゥルナーリアとのバッティングとなったが、デムーロ騎手はアドマイヤマーズに騎乗している。
その皐月賞ではサートゥルナーリアに敗れたものの、続くNHKマイルCで巻き返してG1・2勝目。積み上げた実績を鑑みれば、前哨戦となる富士Sの敗戦だけで主戦降板には違和感が残る。
「昨年の富士S敗戦後の11月にアドマイヤマーズのオーナー近藤利一さんが亡くなったことは、決して無関係ではないと思いますよ。
実際にデムーロ騎手は昨年、近藤オーナーの馬に14回騎乗しており1番人気が6回、2番人気が3回。ほとんどが5番人気以内という勝負レースでした。それ以前も2018年に12回、17年に10回と両者は良好な関係を築いていたはずです。
しかし、近藤オーナーの状況がいよいよ危うくなってきた昨年の下半期以降、デムーロ騎手はアドマイヤマーズの富士Sを含めてもわずか3度のコンビ。さらに今年に至っては、“アドマイヤ”の馬に騎乗していません」(別の記者)
近藤利一さんの死後、アドマイヤ軍団は旬子オーナーが引き継ぐこととなったが、どうやら一時的な処置に過ぎないようだ。現在はデビューが控える2歳馬を中心に、次々と他のオーナーの所有に切り替わっており、事実上「アドマイヤ軍団の消滅は秒読み」となっている。
また、今回アドマイヤマーズと新コンビを組むことになった川田騎手は昨年、近藤利一オーナーの所有馬に1度も騎乗していない。これだけを見ても利一さんの死後、アドマイヤ軍団の体制が明らかに変化したと述べざるを得ないだろう。
今年、美浦に活動拠点を移してここまでG1・2勝と、かつての存在感を取り戻しつつあるデムーロ騎手。しかし、“盟友”が世を去り、最愛のパートナーも手の届かぬ所へ行ってしまったことには、ただただ虚しさが募るばかりだ。