JRA アーモンドアイ天皇賞・秋(G1)で「芝G1・8勝」に再挑戦!? コントレイル&デアリングタクト世代が偉業達成の前に立ちふさがる?
「芝G1・8勝目」を懸けて臨んだ安田記念(G1)で2着に終わったアーモンドアイ(牝5歳、美浦・国枝栄厩舎)。レース後、鞍上のC.ルメール騎手は「本来の彼女ならもっといい脚を使えたと思います。コンディションは良かったのですが…」とまさかの敗戦を嘆いた。
同馬を管理する国枝師も敗戦を受けて、「ため息しか出ない」と肩を落とした。だが悔やんでばかりもいられない。9日、国枝師はアーモンドアイの今後について「秋は昨年勝っている天皇賞・秋(G1)が目標になる」と明かしている。
昨年の天皇賞・秋(G1)は、今回の安田記念同様、G1馬10頭が集結して史上稀に見る超豪華メンバーでの開催。そのメンバーを相手にアーモンドアイとルメール騎手は、好位追走から最後の直線ではインを突いて優勝。2着ダノンプレミアムに3馬身差をつけて“役者”の違いを見せつけていた。
ライバルたちを歯牙にもかけない圧巻の走りで優勝しただけに、アーモンドアイが再度「芝G1・8勝目」を懸けて出走する舞台として、天皇賞・秋がうってつけだと陣営は判断したのかもしれない。
新記録を樹立することが待ち望まれているアーモンドアイ。だが、今回の敗戦などもあり、「芝G1・8勝目」に肉薄するも届かなかった『世紀末覇王』テイエムオペラオーと同じ末路をたどるのではないか、との考えが頭をよぎった人も多いだろう。
2000年に古馬王道G1を完全制覇したテイエムオペラオーは、アーモンドアイと同じように5歳春でG1・7勝目を達成。ところが続く、宝塚記念(G1)では単勝1.5倍の1番人気に支持されるもライバルメイショウドトウの2着に敗れてしまう。
その後、夏をはさみ、仕切り直しの一戦となった京都大賞典(G2)こそ快勝するも、天皇賞・秋は芝とダートでそれぞれG1を勝利していた“二刀流“アグネスデジタルに1馬身差つけられて2着。ジャパンC(G1)ではその年のダービー馬ジャングルポケットにクビ差届かずまたもや2着。ラストランとなった有馬記念では、同年の菊花賞馬マンハッタンカフェから0秒2差の5着に終わり、「芝G1・8勝」を挙げることなく現役を引退している。
「テイエムオペラオーとアーモンドアイでは距離適性やタイプが違うため一概には比較することはできません。ですが、テイエムオペラオーの『芝G1・8勝』の前に立ちふさがったのは、自分よりも年少の実力馬。つまり世代交代の波に跳ね返される形で偉業を成し遂げることができませんでした。
今年も秋には春クラシックを制したコントレイルやデアリングタクトの牡牝無敗2冠コンビや、それらに肉薄したサリオスら若い世代が、古馬G1にも顔を出してくるはず。充実一途をたどる3歳馬を相手にどこまで太刀打ちできるのか。テイエムオペラオーと同じ轍を踏まなければいいのですが……」(競馬誌ライター)
アーモンドアイには、『あの1戦を勝っていれば……』などと振り返られることのないキャリアを送ってもらいたいものなのだが……。