JRAエプソムC(G3)「その後」に異変? 夏競馬の主役から天皇賞・秋の穴馬探しへ「第2のジャスタウェイ」を探す
今週14日に東京競馬場で行われるエプソムC(G3)は、今年で37回目を迎える。
‘90年代には、天皇賞・秋(G1)を勝ったプレクラスニー、宝塚記念(G1)を勝ったマーベラスサンデーらが、このレースをきっかけにG1で活躍。だが、このレースから秋のG1に繋げていこうとする馬はかなり少なかった。むしろ、その状態の良さを活かして、夏の北海道や新潟などの重賞に使う陣営がほとんどであった。
だが近年、ここを勝って賞金を加算し、秋のG1戦線に入って行く馬たちが見られるようになってきた。とくに天皇賞・秋へ目標を定めるパターンが増えている。
その流れが最初に見られたのが、2009年の優勝馬シンゲンだ。エプソムCを勝った後、夏は使わず休養に充てて、9月のオールカマー(G2)で復帰し3着。そして、天皇賞・秋に出走して2番人気に支持された。残念ながら5着に敗れたが、7歳の高齢だったシンゲンの奮闘はレースを大いに盛り上げた。
2011年の優勝馬・ダークシャドウは、G1を近くに引き寄せた馬だった。
デビューは3歳の4月で遅かったが、4歳になると頭角を現し始めて、大阪杯(当時G2)2着後にエプソムCへ出走する。直線ではムチを数発しか入れず、あとは持ったままで楽勝の初重賞制覇だった。
夏は休養に充てられ、秋の毎日王冠(G2)で復帰して完勝する。その勢いで天皇賞・秋へと向かったのだが、伏兵トーセンジョーダンの2着に敗れてしまう。あと一歩だったが、大健闘といえるだろう。
そして2013年に出走したジャスタウェイだ。
この馬はエプソムCに挑むも、スタートから出遅れて後手にまわり、最後はクラレントの2着に敗れてしまった。しかし、この年3戦して連対もできなかったので、ようやくこの東京の中距離戦で目処を立てた形だ。
賞金を加算出来なかったため、続けて関屋記念(G3)に出走するも、また出遅れて2着に。秋は毎日王冠に出たが、やはりスタート出負けしてポジションを後ろに取り、2着に敗れた。
「ジャスタウェイは当初、天皇賞・秋で除外対象の20番目だったのですが、回避馬が出たために出られることになりました。
中間に入念なゲート練習を行なって、福永祐一騎手は『スタートが決められればと思っていた』とレース後のインタビューでコメントしていたように、人馬一体で全神経を集中させていたようです」(同)
課題だったゲートはスッと出て、中団の後方寄りにポジションを取ることができた。道中はしっかりと折り合う。直線は弾けて、ジェンティルドンナ、エイシンフラッシュを突き放し、4馬身差の圧勝で天皇賞・秋を制覇したのだった。
賞金加算のために関屋記念を挟んだものの、エプソムCから天皇賞・秋制覇を目指して行く最初の成功例となった。
その他にも2015年の優勝馬・エイシンヒカリも、夏は休養し秋に毎日王冠を勝って、天皇賞・秋に向かったが9着敗退。しかし、陣営はすぐ馬を立て直して、12月の香港C(G1)に出走し、力でねじ伏せてみせた。
このように、エプソムCから秋のG1に繋げた馬を4頭紹介したが、ここ数年は秋に繋げる馬が出てこないのが寂しい限りだ。
しかし、今年は粒揃いのメンバーであり、このエプソムCをきっかけに、秋に飛躍しても不思議ではない馬たちが出走してくる。果たして、どの馬が勝ち上がり、秋に繋げてゆくのか、注目していきたい。