【徹底考察】天皇賞・秋(G1) アンビシャス「その力は『G1級』も期待された宝塚記念でまさかの16着。世代屈指の大器は何故、大敗したのか」
『考察』
昨年の天皇賞・秋(G1)では3歳馬ながら、勝ったラブリーデイとは0.2秒差の5着に好走。この時点で高い能力を評価されていたアンビシャス。だが、この馬が「G1級」という評価を受けるようになったのは、やはり今年初戦の中山記念(G2)からだろう。
今年3月の中山記念。当時、現役最強の呼び声高かったドゥラメンテにクビ差まで迫った末脚の破壊力は、この馬の大きな成長を感じさせた。さらには続く大阪杯(G2)では、一転して好位追走からキタサンブラックを撃破。
宝塚記念(G1)で大敗したものの、アンビシャスとって現役トップクラスに並びかける大きな飛躍を遂げた春だったことは間違いない。
それを証明したのが、秋初戦となった前走の毎日王冠(G2)だ。
宝塚記念の大敗もあって人気こそ3番人気に留まったが、最後の直線では持ち前の鋭い末脚で1番人気だったルージュバックとの叩き合いに持ち込む。惜しくも2着に敗れたが、相手は54㎏でこちらは57㎏と3kg差があっただけに悲観する内容ではない。斤量差が詰まる本番での逆転は十分に可能だ。
しかし、その一方で前々走の宝塚記念は3番人気に支持されたものの、春の充実ぶりからは考えられない悲惨な結果。それも末脚不発ではなく、好位からズルズルと後退して16着に大敗している。一体、何があったのだろうか。
まず、当時に敗因として最も多く挙がっていたのは「距離」が長かったということ。
しかし、前哨戦とはいえ同じ阪神内回りの2000mで行なわれた大阪杯で、キタサンブラックに土をつけるような馬が、200m距離が伸びただけで16着に大敗するだろうか。明確な根拠がない以上、真っ向から否定するつもりはないが、疑問が残るのは確かだ。
次に見受けられたのが「稍重」だったということ、つまりは雨の影響である。
確かにアンビシャスにとって、宝塚記念が初めての荒れた馬場でのレース。実際に稍重という表示以上に重い馬場だった印象もある。だが、雨でぬかるんだ馬場が「からっきしダメ」という仮説は、前走の毎日王冠が稍重だったことで否定された。