JRAユニコーンS(G3)「大差」「9馬身差」ダートの怪物候補レッチェバロック。持ち時計「超優秀」も、最大の“不安”はC.ルメールのコメントにあり……
21日、東京競馬場では3歳限定のダート重賞、ユニコーンS(G3)が行われる。フルゲート16頭に18頭が登録。回避がなければ、収得賞金900万円の14頭のうち12頭が抽選対象となる。
14分の12という抽選をくぐり抜けることが前提だが、2戦2勝のレッチェバロック(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)に注目したい。
牝馬ながら、『netkeiba.com』の事前オッズでは素質馬カフェファラオに次ぐ2番人気に予想されているレッチェバロック。人気の理由はデビュー2連勝のレース内容にある。
「いずれも東京のダート1400mをすんなり逃げ、デビュー戦は大差勝ち、前走の1勝クラスは9馬身差の圧勝でした。前走の勝ちタイム(1分23秒6)は、同日古馬2勝クラスの勝ち馬より0秒1遅いだけという超優秀なもの。3歳春の時点、しかもキャリア2戦目でなかなか出せるタイムではありません。ただし、その卓越したスピードを見る限り、将来的に活躍の場は1400mもしくは1200mになるのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
実際に前走手綱を取ったC.ルメール騎手はレース後、次のようにコメントを残している。
「最初からフットワークが速くて、スピードが出ていました。プレッシャーがかからずに自分のリズムで行ければ、1600mぐらいは行けるでしょう」
距離延長には自信をのぞかせたが、あくまでも「自分のリズムで行ければ」という条件付き。これまでは、楽な「単騎逃げ」しか経験していないレッチェバロック。先行争いに絡んでくる馬がいたときに脆さが露呈する可能性は否めない。
登録18頭中、前走逃げたのはレッチェバロックを含め4頭。2走前までさかのぼれば、さらに4頭増え半数近い8頭が逃げの手を打っている。これまでのように自分のリズムで競馬を運べる可能性は高くないと見るべきだろう。
データ的にもレッチェバロックにとって不利な要素がそろっている。
1996年に創設されたこのレース。昨年までの過去24回で牝馬の優勝は2頭だけで、その成績は「2-4-1-30」とあくまでも牡馬が優勢だ。かつては中山競馬場の1800mでも開催された時期があり、牝馬は中山で「1-2-1-2」と相性が良かった。一方、東京に限ると「1-2-0-28」と数字はさらに落ち込む。東京のダート1600mはスピードに加え、パワーも要求されるだけに3歳牝馬には想像以上にタフなコースといえるだろう。
2戦2勝という戦績も実は不安なデータの一つである。ユニコーンSでデビュー3連勝を狙った馬は過去に10頭いたが、通算「0-0-0-10」と全て馬券圏外に沈んでいる。
さらに「前走1勝クラス」からの参戦は「3-1-4-90」と明らかな苦戦傾向。未経験の芝スタートもレッチェバロックにとってプラスとはいえないだろう。
不安な要素は決して少なくないが、これらをすべて覆し、デビュー3連勝を飾るようなら「怪物級」は間違いなし。果たしてダート界に牝馬の新星は誕生するのだろうか。