JRA四位洋文「勝ってたと思うので、申し訳なかった」心残りのまま引退……函館スプリントS(G3)「大器」エイティーンガールと坂井瑠星が無念晴らす
21日、今年の函館開催最初の重賞・函館スプリントS(G3)が開催される。高松宮記念(G1)で3着のダイアトニックをはじめとした好メンバーが北海道に集結した。
その中でも、重賞級の呼び声高いエイティーンガール(牝4歳、栗東・飯田祐史厩舎)に注目したい。
3歳秋から本格化の兆しを見せはじめたエイティーンガール。昨年のファイナルS(3勝クラス)では、上がり最速の末脚で2着に2馬身半差をつける圧巻の走りで勝利し、オープン入りを果たした。
続く、シルクロードS(G3)は後方からもの凄い脚で追い込むも、クビ差届かず2着。そして、前走の鞍馬S(OP)では1番人気に支持されるが、またしても勝ち馬にわずか0.1秒差の3着に敗れた。
「前走は上がり3ハロン32.4秒の末脚を披露するも、大外を回したことが災いして勝ち馬に届きませんでした。エイティーンガールはいつ重賞を勝ってもおかしくないぐらいの存在です。今回も引き続き、コンビ2戦目となる坂井瑠星騎手が手綱を取りますので、前走の敗北を糧にした好騎乗に期待したいですね」(競馬記者)
今年、自身の誕生日にダービー初騎乗を叶えた坂井騎手。NHKマイルC(G1)で13着に敗れたサトノインプレッサを、ダービーでは4着に導く好騎乗を見せた。今ノリに乗っている若手騎手だ。
そんな坂井騎手には、今年騎手を引退した四位洋文調教師の“無念”を晴らすことにも期待がかかる。
実は、シルクロードSでエイティーンガールに騎乗していたのは四位騎手(当時)。この時、すでに2月末の引退が決まっていたため、残り少ない重賞騎乗機会の一つだった。だが、わずかに勝ち馬に届かず重賞勝利を飾ることができなかった。
レース後、四位騎手は「進路がすぐにできていれば、勝っていたと思うので、申し訳なかったです。まだまだ強くなります。大事に行ってもらいたいですね」とコメント。エイティーンガールを高く評価すると同時に、今後の活躍に期待を寄せた。
その後、四位騎手は京都牝馬S(G3)でメイショウショウブに騎乗するが11着に敗れており、重賞勝利は2018年の愛知杯(G3)をエテルナミノルで制したのを最後に、騎手引退を迎えることになってしまった。そのため、エイティーンガールが四位騎手にとって、最後の重賞制覇に最も近づいた馬だったのだ。
今年も函館競馬場を訪れた四位調教師は『東スポ』の取材に「いつも通りの函館だけど、ジョッキーじゃないのは不思議な感じもするね」と話し、感慨深い様子で調教風景を眺めていた。
四位元騎手が果たせなかったエイティーンガールでの重賞制覇。坂井騎手が北の大地で達成する姿を、次のステージに進んだ師に見せてほしいものだ。