JRA M.デムーロ騎乗停止も危機一髪!宝塚記念(G1)ラッキーライラックとはコンビ継続も、思い出されるルール変更が招いた「3カ月前」の悲劇……
28日、阪神競馬場で春のグランプリ・宝塚記念(G1)が開催される。ファン投票1位のアーモンドアイは回避となったが、G1馬8頭という豪華メンバーでの1戦に注目が集まる。
アーモンドアイに次ぐファン投票2位のラッキーライラック(牝5歳、栗東・松永幹夫厩舎)はM.デムーロ騎手とのコンビで挑むが、実は今年から適用されている「騎乗停止処分の始期の変更」に救われる格好となった。
21日の東京12Rでセイウンパワフルに騎乗したデムーロ騎手。4コーナーで内側に斜行し、マーヴェラスクイン、カレンピピ、パンドラフォンテンの3頭の進路が狭くなったとして7月4日から5日までの2日間の騎乗停止処分を受けた。
宝塚記念の翌週からの騎乗停止となるため、予定通りラッキーライラックには騎乗が叶うのだが、昨年までのルールだと宝塚記念は騎乗できなかったのだ。
昨年まで騎乗停止期間は「翌週」からの適用だったが、今年から1週間後の「翌々週」に変更されている。JRAの発表によると『処分の統一的な運用、不服申立てがあった際の十分な審理時間の確保、およびルールの国際調和の観点』を変更理由としている。また、1週後ろ倒しになったことで、騎乗馬の調整においても混乱防止になっているのではないだろうか。
この期間変更により、デムーロ騎手はあわや宝塚記念の騎乗が不可能となるピンチを救われた。九死に一生を得たデムーロ騎手には大阪杯(G1)に続いて、ラッキーライラックとのコンビで牡馬相手に大暴れしてほしいところだ。
その一方で、実はデムーロ騎手以外にも、この“恩恵”を受けた騎手が既にいる。それが今年2度の騎乗停止処分を受けている北村友一騎手だ。
3月1日の阪急杯(G3)でダイアトニックに騎乗した際、最後の直線コースで内側に斜行し、フィアーノロマーノの走行を妨害したとして、14日から28日までの15日間の騎乗停止処分を受けた。
このとき既に、2歳女王レシステンシアとのコンビで、翌週の7日に行われるチューリップ賞(G2)参戦が決まっていた。そのため、昨年までのルールであれば騎乗が叶わないという状況だったが、期間変更により危機を回避することができたのだ。
だが、レース本番で圧倒的1番人気に支持されたレシステンシアは3着に敗れてしまった。その後、レシステンシアの鞍上は桜花賞(G1)が武豊騎手、NHKマイルC(G1)がC.ルメール騎手に乗り替わりとなった。
「チューリップ賞のレシステンシアの敗因は溜め逃げだったと思われます。これまでハイペースで逃げても脚色が鈍らないという強さを見せていましたが、スローペースに落として後続の目標とされた結果、上がり勝負となってしまい、切れ負けしてしまいました。
敗れたとはいえ、本番前に溜めると持ち味が生きないと確認できただけに、桜花賞で修正すればいい話だと思えてしまいます。そのため、北村友騎手の騎乗を責めるのは可哀そうにも思えますが、勝負の世界なので仕方ないですね。もし、騎乗停止で乗っていなかったら、違う未来があったのかもしれませんね……」(競馬記者)
北村友騎手は騎乗停止期間変更の恩恵を受けたと思いきや、悪い方向に転んでしまったようだ。
今回、デムーロ騎手はラッキーライラックの騎乗が叶ったが、どうか同じ轍は踏まないでほしいところだ。