JRA「関東のご意見番」蛯名正義の後継者にあの騎手が名乗り!? 「怪我の功名」でリーディングも現実的に
年明け早々に落馬負傷のため、戦列から離れていた三浦皇成騎手だが、3月に復帰して以来、勝ち星を量産している。6月28日現在ですでに37勝を挙げており、関東リーディングでも4位につける活躍を見せている。
絶好調の理由として、以前よりメリハリの利いた競馬ができていることも大きいようだ。行くときは積極的に逃げ、時には大胆な後方待機を選択するなど、騎乗の幅が広がったと、周りの騎手は分析していた。
その一方で、これまでと違った一面も見せている。
落馬負傷により、以前にも増して馬込みで神経を使うようになったらしい。何度も大怪我をしていることもあり、過敏になっていて、危ない騎乗をしている若手がいると、ときには周りも引くくらいの大声で注意することもあるようだ。
「山田敬士騎手や菅原明良騎手、原優介騎手なんかはよく呼ばれているようですよ。レース後に『俺が何度も声をかけているだろ。気をつけろ』と師匠の調教師の前でも叱咤することもありました。同じレースに騎乗していたほかの騎手は『ちょっと怒り過ぎじゃないか』と若手騎手に同情する声もあったみたいです」(競馬記者)
また、パトロールビデオを確認すると、若手騎手に顔を向けて怒っている姿を見掛けることもある。このときは萎縮した若手が外へ張る感じで下がり、結果的に三浦騎手に進路を譲るような形になっていた。三浦騎手がフェアプレーを強く意識していることが伝わって来る一幕だったかもしれない。
別のレースでも、若手騎手が放馬した馬を自ら捕まえようとしているのを目撃し、遠くから「ジョッキーは近づくんじゃねえよ。係の人に任せておけ!」と無観客の競馬場に怒号が響いた。声の主は勿論、三浦騎手だ。注意を受けた若手騎手は馬から離れて三浦騎手の元へ行って平謝りしていた。
「関東は蛯名正義騎手が以前は若手の教育係のようなポジションでしたが、今は騎乗数も少なくなったため、注意する騎手がいなくなってしまいました。横山典弘騎手や柴田善臣騎手などのベテランはあまり大声を出して言うタイプではありませんし、中堅の石橋脩騎手や津村明秀騎手も穏健派ですから。
そこでキャリア的にも実績的にも三浦騎手が後継に収まったわけです。ですが、注意している内容は決して理不尽ではなく、何度も大怪我を負った経験やジョッキーとしてのプライドがそうさせるのでしょう」(競馬記者)
以前にも増してフェアな騎乗を心掛けるようになった三浦騎手。順調に行けば、自身初となる関東リーディング獲得の可能性も十分あるだろう。強敵となるD.レーン騎手は短期免許の期間満了もそう遠くはない。
同じく怪我から復帰した戸崎圭太騎手も、先週は7鞍に騎乗して4勝をあげる大活躍を見せたように、復調を感じられる好成績だった。今後の関東は怪我から復帰した三浦騎手と戸崎騎手を中心に回っていきそうだ。