JRAラジオNIKKEI賞(G3)逃げ馬から“逃走”!? 残念ダービー「回避馬」から紐解ける“大渋滞”がレースのカギ!
5日、福島競馬場でラジオNIKKEI賞(G3)が行われる。「残念ダービー」とも呼ばれるレースだが、一昨年の2着馬フィエールマンはここから菊花賞(G1)を制しており、秋を見据える上で重要な1戦と言えそうだ。
また、過去10年のうち7回はフルゲートで行われるほど、出走馬が集まりやすいレースである。今年も2連勝中のルリアン、パラスアテナをはじめとした14頭が出走を予定していた。
だが、1日にキメラヴェリテとビバヴィットーリオの2頭が出走回避を表明したことで、12頭立てで争われることになった。
北海道2歳優駿(G3)の勝ち馬キメラヴェリテは、初の芝レースとなった若葉S(L)でいきなり2着に入り皐月賞(G1)の切符を手に入れた。だが、本番ではG1の壁に跳ね返されて17着。次走は古馬初挑戦となる鳴尾記念(G3)に出走するも15着と2桁着順が続いている。今回、同世代との対決ということで注目が集まっていたが、回避となってしまった。
また、ビバヴィットーリオはデビュー4戦目で未勝利戦を勝ち上がり、前走の国分寺特別(1勝クラス)では勝ち馬から0秒1差の3着。今回、格上挑戦となる予定だった同馬は、レースを回避して自己条件に向かうことが明らかになっている。
ほとんどがフルゲートで行われるラジオNIKKEI賞が12頭立てで行われるのは、過去20年でも2回しかなく、同期間では最少タイの出走頭数だ。こうなったのには、今年独特の出走メンバーが理由にあるかもしれない。
「今年のラジオNIKKEI賞は、非常に多くの逃げ馬が出走を予定しています。出走回避を表明したビバヴィットーリオも、前走は逃げられませんでしたがキメラヴェリテも本質的には逃げ馬でした。
逃げ馬は基本的に気持ちよくハナを切れないと持ち味を最大限に発揮できませんし、出走回避を表明したビバヴィットーリオとキメラヴェリテも、陣営があまりに極端なメンバー構成を嫌ったことが回避の理由の1つかもしれませんね」(競馬記者)
実際に、出走予定馬を確認してみると、回避を表明した2頭を除いても、まだ6頭が前走で逃げの手を打っている。さらに、5頭が3番手以内でレースを進めた先行馬。つまり、パラスアテナを除いたすべての登録馬が前に行きたい馬で埋め尽くされているのだ。
この状況ではどの馬が前に行くのか全く想像がつかない。激しい先行争いとなればハイペースだが、もし各馬探り合いをすればスローペースに落ち着くことさえも考えられる。そして何より、陣営の描くレースをできるかには疑問が残る。
2頭の“逃げ馬”が、“逃げ馬”多数のレースから“逃げる”形となってしまったラジオNIKKEI賞。それでも、逃げ馬の渋滞はまだまだ解消されていない……。