「これが王者の走りだ!」天皇賞・秋(G1)は、王者モーリスが世界のR.ムーア騎手を背に戴冠!
エイシンヒカリとラブリーデイが並ぶようにして最後の直線へ。その間をロゴタイプが割ろうとした瞬間、馬場の真ん中を通ってモーリスが圧倒的な手応えで先頭に躍り出る。やや早めの仕掛けだったが、脚色はまったく衰えない。
モーリスをマークしていたリアルスティールがそれに続いて必死に脚を伸ばすが、世界の名手R.ムーアの手綱で輝きを取り戻した昨年の年度代表馬はあまりにも強かった。
最後はステファノスが3番手に上がったところがゴール。2番手にリアルスティールが続いたが、モーリスが危なげない走りで2000mを克服し、再び日本競馬界の頂点に立った。
強い、圧倒的に強い。これがモーリスである。こうしてレースを振り返って改めて実感するが、本当の最強馬は直線でドラマを作らない。ゴール入線後「これが王者の走りだ!」と実況があったが、まさにその通りのレース。
ただただモーリスの強さだけが改めて浮き彫りとなった、実に鮮やかなレースだった。
「今日は完璧な仕上がりでした。やや早めの追い出しになりましたが、早く追い出しても誰も追いつけない自信があった。完勝でした」
勝利騎手インタビューを受けたムーア騎手は、落ち着いた様子でそう語った。今年の凱旋門賞(仏G1)を制している騎手だけに、日本の天皇賞・秋を勝つことなど朝飯前なのか。それともモーリスが本気で走れば勝てるという確信があったのか。