JRAディープインパクト没後1年。ナッソーS(G1)に海外最後の「大物候補」が出走! “近代競馬の結晶”の娘がディアドラに立ちはだかる
30日、ディープインパクトが他界してから丸一年となる。
現役時代は14戦12勝(うちG1・7勝)を挙げ、種牡馬としては8年連続リーディングサイヤーに輝いており、今年もトップを独走中。競走馬としてのみならず、種牡馬としても超一流と呼ぶに相応しい名馬だった。
今年のクラシックではディープインパクト産駒のコントレイルが無敗の2冠を達成。残された産駒も数が限られているため、後継として3冠の達成に期待が高まっている。
その一方、日本から遠く離れたイギリスで1頭のディープインパクト産駒が父の命日にG1に挑戦する。
30日、日本時間23時15分にイギリスのグッドウッド競馬場で行われるナッソーS(G1)にファンシーブルー(牝3歳、愛・D.オブライエン厩舎)が出走する。
父ディープインパクト、母Chenchikova(母父Sadlers Wells)という血統のファンシーブルー。クールモアグループが母を日本に送り込んでディープインパクトと配合させて誕生したという経緯がある馬だ。同馬を管理するD.オブライエン調教師は、世界のA.オブライエン調教師の次男で、昨年11月に21歳という若さで騎手を引退し、調教師に転身したばかり。だが、早くもトップトレーナーの仲間入りを果たしている。
昨年、A.オブライエン厩舎からデビューしたファンシーブルーは無傷の2連勝。今年からD.オブライエン厩舎に転厩し、初戦として愛1000ギニー(G1)に挑戦するも、2番人気ピースフルの2着に敗れた。勝ち馬を管理しているのは父。息子の初G1制覇に大きな壁が立ちはだかった。
次走の仏オークス(G1)ではピースフルの他にも、コロネーションS(G1)勝ち馬アルパインスターら強力なメンバーが集結。だが、ゴール前で上位人気馬による激しい追い比べをファンシーブルーがクビ差で制し、人馬ともに待望の初G1制覇を飾った。
レース後、D.オブライエン調教師は「今後についてオーナーと話し合って、計画を立てたいと思います。今日はとてもいい手応えで折り合っていましたし、当然、凱旋門賞も不可能ではありません」と秋の大舞台への挑戦の可能性も示した。
ナッソーSを優勝すれば、凱旋門賞挑戦も現実味を帯びて来るだろう。だが、そこに立ちはだかるのが、前年覇者の日本馬ディアドラだ。
ディアドラも今年の最大目標を凱旋門賞に設定。前走のエクリプスS(G1)は5着に敗れたが、ラスト100mでもう一伸びを見せている。叩き2戦目の今回はより良い状態で挑むことになるだろう。ファンシーブルーにとって、父の母国からの刺客が強力なライバルとなりそうだ。
果たして、天国の“近代競馬の結晶”は自身の命日に行われるナッソーSで娘ファンシーブルーの勝利を後押しするだろうか。