JRAエルムS(G3)アルクトス“人気ガタ落ち”必至!? 不安要素“続出”も、単勝回収率「447%」田辺裕信にとっては好条件か!?
9日(日)、札幌競馬場では北海道シリーズで唯一のダート重賞、エルムS(G3)が開催される。
過去10年の勝ち馬を年齢と東西トレセン別に分けると、3勝の4歳栗東所属馬をしのぎ、5歳美浦所属馬が最多となる4勝を挙げている。今年登録されたメンバーのなかで、美浦に所属する5歳馬は1頭だけ。重賞2勝目を狙うアルクトス(牡5歳、美浦・栗田徹厩舎)だ。
これまでダートでは14戦して全て4番人気以上に支持されてきたアルクトスだが、今回はかなり人気を落としそうだ。5日現在、『netkeiba.com』の予想オッズでは12倍台の6番人気に想定されている。実績的には3~4番人気でもおかしくないが、今回は不安要素が少なくない。
アルクトスは、全7勝のうち6勝が左回りというサウスポー。右回りは5戦して1勝、2着1回と悪くはないが、やはり左回りに比べると見劣りしする。
距離も1400~1600mが守備範囲。1700mは福島で勝ち鞍を挙げているが、1000万クラス(2勝クラス)でのもの。コーナー4回の競馬は「1-0-0-4」で、「6-2-0-1」(芝での1戦は除く)のワンターンの競馬に比べると安定感に欠ける。550kgを誇る大型馬でもあり、小回りの札幌でどこまでうまく立ち回れるか、不安の方が大きい。
さらに今回は初めてのギリギリでの帰厩となる10日競馬で臨む点も気になるところ。大型馬でじっくり仕上げるほうが良いタイプに思われるため、当日の馬体をしっかり見極めたほうがいいかもしれない。
鞍上も不安要素の一つ。田辺裕信騎手は第2回福島競馬で8勝を挙げ、地元で開催リーディングジョッキーに輝いた。しかし、その後の2週間は新潟と札幌で合計11鞍に騎乗するも、2着と3着が1回ずつとやや調子を落としている。
札幌競馬場での成績も決して良くない。通算勝率4.1%は、京都の2.8%に次いでJRA全10場でワースト2位。連対率と複勝率に至っては、ともにワーストである。また、田辺騎手はエルムSで過去3度騎乗し、すべて着外に敗れている。
ただし、札幌での通算単勝回収率は全10場でトップの188%を誇る。今回の舞台、札幌ダート1700mに限定すると、「3-0-3-31」で、勝率(8.1%)は低いが単勝回収率は447%まで跳ね上がる。人気落ち必至のアルクトスで臨む今回は、田辺騎手も気楽に乗れるはず。積極的な騎乗ができれば、一発があっても驚けない。
2014年のエルムSで田辺騎手は1番人気のジュベルムーサに騎乗し、6着と人気を裏切った。6年ぶりのエルムS騎乗でその時のリベンジを果たしたいところだ。アルクトスを勝利に導けば、3連単万馬券は間違いないだろう。
ギリシャ語で「北斗七星」という意味を持つアルクトス。田辺騎手を背に北の大地でその輝きを放つことはできるだろうか。