JRA社台グループも諦めた? 北海道の競馬関係者が嘆く「札幌記念G2→G1昇格」は、もはや夢物語か
その理由は
・春と秋シーズンにG1レースを実施し、そのために各路線を編成していること
・札幌記念をG1に昇格すると、そのために番組編成が必要になること
・前後に行われるG1レース(宝塚記念・天皇賞秋)への影響が懸念されること
・凱旋門賞などへの叩き台として使われる場合もあり、G1レースとしての存在意義が問われること
・実際に毎年実績のある馬が集まるか疑問があること
などが挙げられている。どれも理解できるものであり、確かに無理にG1に昇格させる必要はないようにも感じる。さらにG1に格上げしたといっても、その後レースレベルが下がると、海外のG1レースのように格付けが落とされる懸念もあるわけで、やはりJRAが慎重になるのも当然と言えよう。
現状を冷静に分析すると、北海道の競馬関係者にとって札幌記念のG1昇格は悲願だが、JRAにとって札幌競馬場は全国に10ある競馬場の一つでしかないようだ。
そしてJRAのそんな思惑を見越したか、今年の札幌記念の出走レベルは昨年と比較しても大幅に下がったように思える。
当初出走を予定していたマカヒキを含めても、ラッキーライラック、ペルシアンナイト、ノームコアと、G1馬は4頭しか登録しなかった。確かにラッキーライラックは今年の大阪杯優勝馬だが、他のG1馬はいささか衰えが隠せない様子。レースレーティング対象の4着以内に好走するのは、かなり厳しいと言わざるを得ない。もし波乱の結果となれば、条件であるレースレーティング115をクリアするのは厳しいといえる。
ここ数年、札幌記念は凱旋門賞の前哨戦という位置付けでもあった。そういった要素もあり、昨年はこのレースをステップにフィエールマンとブラストワンピースが出走し、結果としてレースレーティングは大幅にアップした。しかし、コロナウイルスの影響で今後の海外遠征は不透明という状況だ。
そして今後、札幌記念のG1昇格が見込めないとなると、来年以降も豪華メンバーがここに出走することはないかもしれない。それはそれで夏競馬最大のレースである札幌記念の価値を下がることにもつながり、JRAとしては悩ましい問題ともいえそうだ。