JRA短距離王国・安田隆行厩舎「最後」の忘れ物!? 完全制覇へ古馬1200m以下で唯一勝っていないあのレース
まさに「短距離王国」の真骨頂だった。
13日、中京競馬場で行われたセントウルS(G2)は、1番人気のダノンスマッシュが快勝。スプリンターズS(G1)へ大きくアピールすると、同日に行われた京成杯オータムH(G3)でもトロワゼトワルが優勝。管理する安田隆行調教師にとっては、自身初のW重賞ジャックとなった。
安田厩舎といえば、古くから「短距離王国」として競馬ファンの間でもお馴染みの名門厩舎。これまで芝では重賞33勝を上げながら、1600m以下が31勝とスペシャリストぶりを如何なく発揮している。
かつてはスプリントG1秋春制覇を成し遂げたカレンチャンを手掛け、現役でもダノンスマッシュに加え、今夏の函館スプリントS(G3)を制したダイアトニックも安田厩舎だ。現在、大種牡馬として数々のスピード自慢を輩出し、W重賞ジャックとなった2頭の父ロードカナロアを手掛けたことは、あまりにも有名だろう。
「先日も『日刊スポーツ』の記事でロードカナロアについて『私の財産。本当カナロアには感謝している』と話しているのが印象的でしたね。
ですが、その一方でロードカナロアについて安田調教師は『マイルどころか、2000mをこなせる馬にもなれたはず』と語っています。アジアのスプリント王と呼ばれるほどの短距離馬になったのは、やはり安田厩舎が手掛けた影響が大きいのでしょう」(競馬記者)
そんな安田厩舎が芝で1800m以上の重賞を勝ったのは、厩舎開業5年目の2000年に重賞初制覇になったシルヴァコクピットのきさらぎ賞(G3、芝1800m)と、毎日杯(G3、芝2000m)。逆に言えば、それ以降の約20年間の芝重賞制覇は、すべて1600m以下ということになる。
中でも1200mの実績には突出しており、すでに古馬混合の1200mの重賞は完全制覇している安田厩舎。しかし、そんな「短距離王国」が唯一手にしていない「スピード王決定戦」が、JRA唯一の千直重賞アイビスサマーダッシュ(G3)である。