JRA打倒コントレイル筆頭候補バビットの「経済効果」はデアリングタクト超え!? “格安馬”のジャイアントキリングに意外な人も注目か
21日に行われたセントライト記念(G2)はバビット(牡3歳、栗東・浜田多実厩舎)が優勝。4連勝で重賞2勝目を飾り、ラジオNIKKEI賞(G3)の勝利がフロックでないことを証明した。
評価が鰻上りのバビットは、10月に行われる菊花賞(G1)で3冠に挑むコントレイルの強力なライバルとして立ちはだかることになりそうだ。
この勝利はバビット自身の価値を高めると同時に、意外な経済効果も生み出していた。
22日から24日の3日間に渡って、北海道市場で1歳馬のセリ市「セプテンバーセール」が開催された。これまでに行われてきたセレクトセール、セレクションセール、サマーセールと比較すると、注目馬の上場頭数は少なく、平均落札価格も下がるセールである。
今年は601頭が上場し、451頭が落札され、総売上額は20億円を超える大盛況に終わった。売却率、売上ともに昨年の記録を超える上々の結果である。
その中でも、最も注目を集めたのはアートリョウコの2019(父ヴァンセンヌ、牡1歳)だった。
600万円でスタートしたセリはどんどん価格が上昇して、最終的に2500万円でディアレストクラブが落札。3日間を通して、これが最高落札額である。一見、地味な血統に思われる同馬がこれだけの高値がついたのは、半兄バビットの存在が大きかっただろう。
「セリが行われる2日前にバビットがセントライト記念を勝った影響がもろに出ましたね。もし、凡走していたら、ラジオNIKKEI賞の勝利もそこまで評価されずに、弟の落札価格もここまで上がらなかったはずです。生産者の大北牧場にとって、バビットがセントライト記念を勝った喜びは“倍以上”だったのではないでしょうか」(競馬記者)
兄姉の活躍の影響で、弟妹の落札価格がつりあがった例は、今年のセレクトセールでもあった。
全姉に無敗の2冠牝馬デアリングタクトを持つデアリングバードの2019(牝1歳)が上場。2年前、姉が1296万円という安価で落札されたのに対して、妹は5390万円という4倍以上の高値がついた。これは姉の大活躍を受けての価格高騰と言えるだろう。
ちなみに、バビットは一昨年のオータムセールでグランデファームが150万円で落札。同牧場で育成された後、翌年の北海道トレーニングセールに上場し、宮田直也オーナーが500万円で落札した。セプテンバーセールの落札価格を比較すれば、弟は「16倍」以上の値がついたのである。上昇率はデアリングタクト超えの記録だ。
「高値に拍車をかけた要因に、母アートリョウコが昨年に他界している背景もあります。今回上場したアートリョウコの2019はラストクロップなので、バビットの弟を購入できる最後の機会だったのも価格に反映されたはずです」(同)
もし、バビットが菊花賞でジャイアントキリングを達成するようなことがあれば、弟の2500万円も安いものになるかもしれない。弟を落札したディアレストクラブも、バビットの走りに熱い視線を注ぐことになるだろう。