JRAグランアレグリア止まらぬ進化で「リスグラシュー2世」を襲名!? 藤沢和雄「ちょっと重くて……」異例の前日追いもスプリンターズS(G1)完勝の杞憂
4日、中山競馬場で行われたスプリンターズS(G1)は春の安田記念(G1)でアーモンドアイを下したグランアレグリア(牝4、美浦・藤沢和雄厩舎)が1番人気に応えて快勝。
時計の掛かっていた最終週の中山では超ハイペースといえる前半3F32秒8の流れが向いたとはいえ、後方2番手から上がり最速33秒6の切れ味で前を行く14頭をゴボウ抜き。ゴールでは手応えに余裕を残したまま、2着ダノンスマッシュに2馬身の差をつける完勝だった。
レース後、コンビを組んだC.ルメール騎手は「グランアレグリアの強さは素晴らしいです」と絶賛。同馬を管理する藤沢和雄調教師も「スタートが良くなくて、一瞬ヒヤッとしましたが良かったです」と振り返りつつ、「短距離なら良い脚を使えると思って見ていました」と、改めてグランアレグリアのポテンシャルの高さを再確認したようだ。
その一方、レース当日に発表された馬体重は492キロで出走した安田記念に対し、スプリンターズSは12キロ増となる504キロ。これはデビュー最高体重だった上に、前走から4ヶ月ぶりの休み明けということもあり、太目残りが懸念された。
これについては伏線もある。
「ちょっと重くて、気合も入らず、困っちゃってたんだよね」と明かした藤沢師。そこでレース前日に異例の追い切りを敢行。坂路で4ハロン54秒5-12秒9という本追い切り並の時計を出しての調整を行っていたからである。
だが、名伯楽でさえ太目残りに映った馬体には、グランアレグリアの進化の軌跡が表れているのかもしれない。
18年の6月にデビュー勝ちしたグランアレグリアの馬体重は458キロ。10月の次走サウジアラビアRC(G3)を18キロ増の476キロで圧勝。続く朝日杯FS(G1)、桜花賞(G1)、NHKマイルC(G1)でわずかに増減を繰り返した。
当時のグランアレグリアは高い能力の片鱗は見せながらも、勝負どころで外から被されると怯むようなところもあり、身体能力の高さとともに精神的な脆さも内在していた。
転機となったのは昨年暮れに出走した阪神C(G2)だろう。