JRA岩田康誠「後ろから行く気持ちが95%でした」残り「5%」が導いた“直感”から5年。新馬レッツゴーアスクが異例の「1勝クラス」デビュー
異例の「1勝クラス」デビューへ――。
11日、京都競馬・2歳芝1400m戦のりんどう賞(1勝クラス)に、レッツゴーアスク(牝2歳、栗東・梅田智之厩舎)が、鞍上・岩田康誠騎手で出走を予定している。
今年の登録馬は、近年で最も少ない6頭と寂しい。しかし、本馬の「異例」ともいえる「初出走での参戦」により注目を集めるレースとなった。
レッツゴーアスクのオーナーは「アスク」や「レッツゴー」など、様々な冠名を使い分けている廣崎利洋氏だ。
廣崎氏の馬で、梅田厩舎、岩田騎手といえば、やはり2015年の桜花賞(G1)勝ち馬レッツゴードンキが思い出される。古馬となって短距離戦線で活躍し、人気を博した競走馬だ。
意外にも桜花賞後の勝利は、1400m戦の京都牝馬S(G3)のみ。新馬戦、桜花賞、京都牝馬Sと、生涯3勝しかしていない。桜花賞後は芝G1での2着が3回と善戦しているが、全て1200m戦。過去の成績からも、マイル戦での距離が長かった事は否めないだろう。
「魔の桜花賞ペース」などと言われたのは過去の事。
近年では、それほどハイペースにならない事も多く見られる桜花賞だが、レッツゴードンキが勝利した時は前半4ハロン50.0秒に対し、後半4ハロン46.0秒という「稀にみる超スローペース」。
重馬場だったチューリップ賞でも、前半4ハロン48.5秒に対し後半4ハロン49.2秒というタイムで、桜花賞がいかにスローペースとなったかがわかるだろう。
桜花賞ではレッツゴードンキが極端なスローペースで逃げているにもかかわらず、2番手以降も全く追いかけようとはしなかった。余力を残して直線に向いたレッツゴードンキは直線でも他馬を突き放し、最後は2着に4馬身差をつけてゴール。まさに「まんまと逃げきった」という言葉がしっくりくる勝利であった。
桜花賞のレース後、岩田騎手は「後ろから行く気持ちが95%でした」とコメント。残り5%というわずかな可能性を“直感”で選択した名手の判断が光ったレースであった。
梅田智之調教師にとっては、これがJRAのG1初勝利。オーナーの廣崎氏にとっても、馬主歴28年目にして初めてのG1勝利となった。
あれから約5年半。G1トレーナー、G1オーナーとなったコンビが送り込む新馬・レッツゴーアスクは、初戦から1勝クラスのりんどう賞を選択。
馬名がレッツゴードンキと似ている事からも姉妹と間違われそうだが、実はそうではない。