JRA『ウイニング競馬』大久保洋吉調教師の「名脇役」サンカルロ死去……阪神C(G2)連覇など、多くのファンに愛された1400mのスペシャリスト逝く
17日、阪神C(G2)連覇など重賞4勝を上げたサンカルロが、疝痛のため亡くなった。繋養先のヴェルサイユファームが公式Twitterを通じて発表している。14歳だった。
2015年に現役引退し、優駿スタリオンステーションで種牡馬入りしたサンカルロだったが、今年に種牡馬を引退。余生をヴェルサイユファームで過ごしていた。しかし、昨日に疝痛を起こして状態が悪化……そのまま息を引き取った。詳細は今後もヴェルサイユファームから発表される見込みだ。
競馬ファンの間で、しばしば語られる「もし非根幹距離にG1があったら……」というテーマ。そこで必ずと言っていいほど登場するのがサンカルロだ。
JRAでは1200m、1600m、2000mといった根幹距離で数多くのG1レースが開催されている一方、1400m、1800mといった根幹距離の中間……つまりは非根幹距離では、阪神Cや毎日王冠といったG2は開催されても、芝のG1レースは1つもない。
その結果1200mではやや短く、1600mではやや長いといった、ちょうど1400mでこそ実力を全開できる“名脇役”がいつの時代にも存在する。サンカルロはその代表的な存在として、多くのファンから愛された。
2009年から5年連続して「阪神C→阪急杯(G3)」を連戦し、その10戦で[3.2.2.3]という、まさに1400mのスペシャリストに相応しい結果を残したサンカルロ。しかし、その一方、G1では高松宮記念で2年連続2着など、あと一歩届かなかった。
「2012年の高松宮記念では勝ったカレンチャンにクビ差と、本当にあと少しまで迫ったんですけどね。ただ、そんなG1で少し足りないところが、多くのファンに愛された理由の1つでもありました。
個人的には『異色のシンボリクリスエス産駒』という印象があります。シーザリオを例にとってみても、キングカメハメハ産駒のリオンディーズはマイルG1馬で、シンボリクリスエス産駒のエピファネイアは菊花賞馬。
これだけを見ても、シンボリクリスエスは主に豊富なスタミナを伝える種牡馬ですが、そこからサンカルロのような短距離のスペシャリストが誕生したことは、競馬の奥深さを物語っていると思います。
残念ながら、種牡馬としては活躍できませんでしたが、サンカルロのご冥福をお祈りいたします」(競馬記者)
現役時代は3歳春のニュージーランドT(G2)で初重賞制覇。そこから引退する8歳までキンシャサノキセキやカレンチャン、ロードカナロア、グランプリボス、コパノリチャードなど、数々の名優と激闘を繰り広げたサンカルロ。彼らがG1馬として輝くのは、本馬のような“名脇役”がいたからこそだ。
本馬を管理していたのは、土曜日の競馬中継『ウイニング競馬』(テレビ東京系)のレギュラーとしてお馴染みの大久保洋吉元調教師。もしかしたら、今日にも何かコメントがあるかもしれない。
G1勝利こそ手が届かなかったが、多くのファンに愛されたサンカルロ。ご冥福をお祈りいたします。