元JRA安藤勝己氏「分からない」菊花賞(G1)ヴェルトライゼンデ”最適舞台“で惨敗の大誤算……打倒コントレイル筆頭に突き付けられた「絶望的」な現実
25日、京都競馬場では3歳クラシックの最終章・菊花賞(G1)が行われ、福永祐一騎手の1番人気コントレイルが優勝。単勝1.1倍の圧倒的支持に応え、シンボリルドルフ、ディープインパクトに続く史上3頭目となる無敗の3冠馬に輝いた。
デビュー当初、前進気勢の強さから陣営もマイラーと感じていたコントレイルだが、絶対的な能力の高さで春のクラシックを駆け抜けた。圧勝した日本ダービー(G1)では2400mの距離を克服。一定の目途は立ったものの、一気に600m距離が延びてスタミナを求められるのが菊花賞の舞台だ。陣営が適性距離ではないと評した危惧は、レース直前までなくなることはなかった。
そんな無敗2冠馬に対し、淀の長距離に王者逆転の大きな期待を持って挑んだのが、ヴェルトライゼンデ(牡3、栗東・池江泰寿厩舎)である。
前走の神戸新聞杯(G2)を直線最後方近くから大外一気に追い上げて、コントレイルの上がり3ハロンを上回る2着と好走。順調さを欠いて、当初予定していたセントライト記念(G2)から一頓挫あっただけに、陣営が本番での逆転を期待したくなるのは当然だっただろう。
兄に昨年の菊花賞馬ワールドプレミアを持つヴェルトライゼンデにとって、スタミナ勝負は望むところ。距離に不安が残るコントレイルに対し、主戦である池添謙一騎手が「悪者になってもいい」と、3冠阻止へ意欲を見せれば、管理する池江泰寿調教師も「ひと泡吹かせたい」と王者打倒に怪気炎を上げた。
だが、ライバル打倒1番手と期待されていたヴェルトライゼンデは2番人気に支持されたものの、厳しい現実が待っていた。
フルゲート18頭立てのレース。2枠3番のコントレイルに対し、3枠6番という絶好枠から発走したヴェルトライゼンデ。7番手の好位に取りついたライバルのすぐ後ろを追走し、池添騎手は「射程圏」にロックオンした。
このままスタミナ勝負に持ち込めば、距離に不安のある相手にアドバンテージがあると考えたのかもしれない。しかし、そんな池添騎手の目論見は脆くも崩れ去る。徐々にポジションを上げて進出していくコントレイルとは対照的に、ヴェルトライゼンデの手応えは思わしくない。
直線で外に持ち出し、懸命に追い上げようとするも王者の背中は遠ざかる一方。末脚が爆発することもなく、後続馬にも交わされて7着でゴール。自信を持って挑んだ菊花賞だったはずが、逆に完膚なきまでに叩きのめされる結果となってしまった。
レース後、池添騎手は「スタートして促してあの位置を取りました。1、2着馬を見ながらの、いいポジションだったと思います。ただ、3コーナーで先に動く形になったのが違いました」とコメントするのが精一杯だった。