JRA福永祐一「フラグ回収」間に合った!? 菊花賞(G1)コントレイル無事三冠は「完璧」シミュレーションのおかげか……偉業前に「紙一重」の大失態
25日、京都競馬場で行われた菊花賞(G1)は、福永祐一騎手の1番人気コントレイル(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)が優勝した。この勝利で同馬はシンボリルドルフ、ディープインパクトに続き、史上3頭目となる無敗の3冠馬に輝いた。
牡馬クラシック3冠の最終関門を単勝1.1倍の圧倒的1番人気に支持に応えた福永騎手とコントレイル。天才といわれた元騎手の福永洋一氏が父の福永騎手と15年前の無敗3冠馬ディープインパクトの産駒は常に「偉大な父」と比較され続けて来たコンビでもある。
抽選を突破した上がり馬アリストテレスにクビ差まで追い詰められる誤算はあった。とはいえ、最後まで交わされなかったコントレイルの勝負根性と、大一番に懸ける福永騎手の執念が実を結んだ偉業達成ともいえるだろう。
その一方、ここまで同世代のライバルに対し、圧倒的な強さを見せつけて来たコントレイル。大本命馬にとって最大の不安は、その能力を発揮できないまま不完全燃焼に終わることだ。
思い出されるのは2016年のスプリンターズS(G1)だ。ビッグアーサーとのコンビで単勝1.8倍の断然人気に推されながら、勝負どころで行き場をなくして12着に敗れた春の高松宮記念(G1)を快勝し、春秋スプリント制覇の懸かった1戦は「ビッグアーサー前が壁」という”迷実況”を生むこととなった。
このときの苦い経験を持つ福永騎手だけに、コントレイルではいつも以上に細心の注意を払ったであろうことは想像に難くない。
福永騎手はこの日のメインレース・菊花賞を前、5鞍に騎乗している。すべて芝のレースでうち、4鞍が内枠という”幸運”も持ち合わせていた。本番のコントレイルが2枠3番であることを考えれば、シミュレーションするには最高の条件が揃っていたといえる。
「直線で進路がなくなる残念な結果に終わった4Rのミスフィガロ以外にも、インを突いたり、外を回したり、早めの進出や仕掛けを遅らせたりの試行錯誤が見え隠れした騎乗内容だったように思います。
結果的に菊花賞の”予行演習”のようになったため、勝利を収めたシャフリヤール以外の騎乗馬の馬券を買ったファンは、複雑な心境かもしれません。ですが、大一番を前に関係者が騎乗馬を用意することは珍しくないですからね……」(競馬記者)
コントレイルが直線で伸びて来た進路が、勝利を挙げたシャフリヤールをトレースしたかのようなコース取りだったことは、予行演習の賜物だったのかもしれない。
奇しくもこのレースで、コントレイルと同じくノースヒルズのヴィヴァンを負かす”KYぶり”を見せた福永騎手だが、本番では好騎乗でコントレイルを勝利に導いた。
この日の京都は、まさに福永祐一とコントレイルのための開催だったといえるかもしれない。