JRA天皇賞・秋(G1)安藤勝己氏「ペルーサはブエナビスタに勝てた」!? 藤沢和雄調教師に「年度代表馬級」と言わしめた大器が種牡馬引退
今月22日、2010年の天皇賞・秋(G1)で2着したペルーサが種牡馬を引退したことがわかった。繋養先であるアロースタッドの事務局を務めるジェイエスが公式Twitterを通じて発表している。
「今日はどんな勝ち方をするかと思っていた」
10年前の青葉賞(G2)。後の重賞5勝馬トゥザグローリーを4馬身突き放し、デビューから負けなしの4連勝を飾ったペルーサに、横山典弘騎手は「何も言うことはない。見ての通りだよ」と最大限の賛辞を送った。
皐月賞(G1)をヴィクトワールピサが制した2010年の牡馬クラシックに、突如として現れた超新星。管理する藤沢和雄調教師が、同じく青葉賞を制して日本ダービー(G1)に進んだシンボリクリスエス、ゼンノロブロイの2頭を引き合いに出して「2頭の(後の)年度代表馬と同じぐらい強い」と言えば、競馬ファンが沸き立つのは当然だった。
迎えた日本ダービーでは、皐月賞馬ヴィクトワールピサに次ぐ、2番人気に支持されたペルーサ。シンボリクリスエス、ゼンノロブロイの先輩2頭が2着と涙を飲むなど、藤沢厩舎にとって悲願のダービー制覇の気運は最高潮まで高まった。
しかし、ペルーサはここで痛恨の出遅れ……さらに、この年の日本ダービーは歴史の残る超スローペースと、後方からの競馬を余儀なくされた本馬にとっては絶望的な展開だった。
結局、ペルーサは横山典騎手と共に早め進出の競馬を試み、上がり3ハロン33.1秒の末脚を繰り出したものの6着。藤沢調教師が悲願のダービートレーナーとなるのは、2017年のレイデオロまで持ち越されることとなる。
その後、ペルーサは最終的に28戦のキャリアを数え、8歳時にはJRA記録となる5年3カ月ぶりの勝利を上げるなど、最後までファンを沸かせたがG1には一歩手が届かず。G1級の能力を秘めながらも、花開かないまま2016年に引退している。
そんなペルーサが最もG1勝利に近づいたのは、やはり2010年の天皇賞・秋の2着だろう。
勝ったブエナビスタには2馬身差をつけられる完敗だったが、ペルーサは出遅れながらも上がり最速となる33.6秒の豪脚を繰り出しての2着。ゴール前の勢いには目を見張るものがあり、上がり2位のブエナビスタでさえ34.1秒だったのだから、その末脚が如何に圧倒的だったのかが窺える。
もし、出遅れてさえいなければ、ブエナビスタに勝っていたかも……。
レースを観た誰もが思うところだが、これに「自信ありますね」と逆転の可能性を肯定したのが、当時の鞍上・安藤勝己騎手だ。