JRA天皇賞・秋「単勝1.4倍」アーモンドアイを超える絶対性。武豊とサイレンススズカが「1.2倍」に支持された意味
以前から武豊騎手が「夢みたいな数字だけど、58秒で逃げて58秒で上がってくる競馬もできそうな気がする」と評価していたサイレンススズカだが、ここでは800mを47.4秒のハイラップで逃げながらも、46.8秒で上がってくるレースを披露。
後にグランプリ3連覇などG1を4勝するグラスワンダー、日本調教馬として初めて凱旋門賞(G1)で2着するエルコンドルパサーといった3歳の怪物2頭を相手に、2馬身半差をつける完勝劇を収めたのだ。
なお、毎日王冠はG2にもかかわらず、この日の東京競馬場には13万3461人の観衆が詰めかけ、レース後には異例のウイニングランまで行われた。
そして迎えたのが、アーモンドアイを超える単勝1.2倍の支持を受けた天皇賞・秋である。
天皇賞・秋のフルゲートは18頭だが、集った頭数はわずか12頭。「今のサイレンススズカと戦うのは得策ではない」と考えた陣営が続出したためである。今年の天皇賞・秋も同じく12頭だったことを鑑みると、やはりアーモンドアイに並ぶとも劣らない「絶対性」があったといえるだろう。
しかし、結果は多くの競馬ファンが知る通りの悲劇となった。サイレンススズカは4コーナーの手前で突然の失速し、左前脚の手根骨粉砕骨折を発症。そのまま予後不良と診断された。
ちなみにJRA機関紙の『優駿』が行ったアンケート「距離別最強馬はこの馬だ!」では、2000m部門でサイレンススズカが堂々の1位に輝いている。
2000mのG1を勝っていないにもかかわらず、ディープインパクトやウオッカといった7冠馬を抑えての受賞だけに、件の天皇賞・秋は最も勝利に近かったと言えるだろう。
アンケートは2012年に行われたものだが、もし今行えば、果たして天皇賞・秋を連覇したアーモンドアイは、サイレンススズカの牙城を崩すことができるだろうか。これもまた競馬ファンの間で長く議論される伝説に違いない。