JRAジャパンC(G1)コントレイルvsデアリングタクト無敗3冠対決に海外から刺客参戦!! 外国有力馬出走も「内弁慶日本馬」の海外挑戦「試金石」にはならず!?
11月29日(日)に開催されるジャパンC(G1)は、ともに“無敗の3冠”を成し遂げたデアリングタクトとコントレイルとの直接対決が決定した。今年1番の注目度を誇るだろうその1戦をさらに盛り上げるべく、2年ぶりに海外から刺客が登場するようだ。今年のサンクルー大賞(G1)を勝利するなど活躍したウェイトゥパリス(牡7歳、A.マルチアリス厩舎)が招待を受諾したとJRAが伝えている。
ウェイトゥパリスは36戦7勝。これまではモーリスドゥニュイユ賞、シャンティイ大賞などG2での勝利が精一杯で、G1では振るわなかった。だが今年、1番人気に支持されたサンクルー大賞で待望のG1勝利を挙げている。
ウェイトゥパリスが勝利したサンクルー大賞は日本でも馴染みが深い1戦だ。1999年にはエルコンドルパサーがここで海外重賞初勝利を挙げ、また2005年の勝ち馬アルカセットは同年にジャパンCに挑戦し、ハーツクライをハナ差退けて優勝を飾った。またこれら以外にも、日本で種牡馬として活躍しているノヴェリスト、昨年の日本からキセキらが参戦した凱旋門賞でエネイブルを撃破し、優勝を果たしたヴァルトガイストなどが勝ち馬として名を連ねている。
「『世界に通じる馬づくり』を標榜し、1981年に創設されたジャパンCですが、昨年は39回目にして、史上初の『外国馬の出走ゼロ』に終わりました。今年もそれが続くならば、その存在意義が揺らぐことになりましたが、今年はウェイトゥパリスの参戦が決定。関係者たちは胸をなでおろしているでしょうね。
またウェイトゥパリスのほかにも、今年の凱旋門賞(G1)で2着だったインスウープ、英オークスなどG1・4勝を挙げているラブなどもジャパンCに予備登録を行なっており、参戦を視野に入れているようです。もし参戦が叶えば空前の盛り上がりを見せることになるでしょう」(競馬誌ライター)
今回のジャパンCはデアリングタクトとコントレイルの世代最強決定戦であると同時に、外国馬が参戦するため、今年の3冠馬が世界に通用するか否かの試金石な意味合いも持ち始めた。だが、今回この2頭が結果を出したとしても、それが海外で好勝負ができることに直結するとは言い難い。
それは欧州と日本の馬場の違いが影響している。最近の日本馬が欧州に遠征した際、パワーが必要とされる馬場に苦戦しているのと同様に、外国馬も日本独自のスピードが要求される馬場に適応できずに苦しんだ。
事実、ジャパンCに出走した外国馬で最後に優勝したのは05年のアルカセット。翌年に参戦したウィジャボードの3着以来、馬券圏内に入った馬は存在しない。また過去10年を振り返ると、世界でも実績のある馬たちが来日しているにもかかわらず、掲示板に載るのがやっという苦しい状況が続いているのがわかる。
開催年 外国馬出走 最高着順
2010年 8頭 9着
2011年 4頭 6着
2012年 5頭 8着
2013年 3頭 5着
2014年 4頭 6着
2015年 4頭 6着
2016年 3頭 7着
2017年 4頭 5着
2018年 2頭 10着
2019年 不参加
一説によれば、この馬場の違いも外国馬がジャパンCを敬遠する一因にもなっているという。これを解消しなければ、日本の競馬はいつまでも“内弁慶”の状況が続き、ジャパンCが掲げる『世界に通じる馬づくり』は成し遂げられないままなのではないだろうか?
コントレイル、デアリングタクトの“無敗の3冠”2頭に加えて、多数の有力外国馬の参戦となれば、日本国内だけではなく海外からもジャパンCは注目されるだろう。だが、海外からはまた違った意味合いを含んだ視線を向けられることになるかもしれない。