JRA川田将雅“元サヤ”で、クリンチャー「大ピンチ」!? 蘇る2年前「名馬復活」の奇跡が一瞬で終わった苦い記憶……
8日、阪神競馬場で行われたみやこS(G3)はクリンチャー(牡6歳、栗東・宮本博厩舎)が優勝。12月に行われるチャンピオンズC(G1)の優先出走権を獲得した。
2年9か月ぶりの優勝を飾るとともに、ダート7戦目にして待望の勝利となったクリンチャー。今年2月の仁川S(L)で初めてダートレースに出走してから2着4回となかなか勝ちきれなかったが、ついに惜敗続きにピリオドを打った。
この復活劇の立役者であるのが川田将雅騎手だ。
初コンビとなる川田騎手に促され3番手の位置取りでレースを進め、4コーナーを回りきるころには先頭に並びかける。そこからは後続を突き放していき、2着ヒストリーメイカーに3馬身差をつける快勝。かつて京都記念(G2)でレイデオロ、アルアインといった強敵を破った素質馬の能力を最大限に引き出す騎乗となった。
川田騎手は「たくさんの映像を見て、この馬の特長を生かそうというレースを選択しました。とにかく持久力のある馬というイメージを持ちましたし、返し馬で乗ってやはり瞬発力ではないということを感じました。それでこういうレースを選択しました」と振り返った。
レースは1000m通過が60秒5と淀みのない流れ。この展開の中で、早め先頭から押し切ることで、瞬発力勝負ではなく、持久力勝負に持ち込んだ川田騎手の好騎乗と言えるだろう。
最高のパートナーを獲得したクリンチャー。気になるのは次の舞台だ。宮本調教師は「(チャンピオンズCの)優先出走権を取ったしね。馬の状態をみて、オーナーと相談して決めたいです」と話した。ダートの頂上決戦となるG1でも通用すると思われる走りだっただけに注目を集めそうだ。
だが、チャンピオンズCに出走するとなれば、川田騎手にはクリソベリルという先約があり、乗り替わりは避けられない。これはクリンチャー陣営にとって痛手に違いない。
「やはり川田騎手とクリンチャーはかなり手が合っている印象があるだけに、コンビ解消となってしまうのは残念ですね。過去にはサトノダイヤモンドが川田騎手の手綱で復活しましたが、次走で乗り替わりとなってからはさっぱりということもありました。それだけに、クリンチャーと川田騎手のコンビが続くことを願うばかりです」(競馬記者)
2016年にG1・2勝を挙げ、最優秀3歳牡馬に輝いたサトノダイヤモンド。だが、4歳シーズンは凱旋門賞(G1)に挑戦して15着と精彩を欠く年となった。そして6歳シーズンは金鯱賞(G2)で3着、大阪杯(G1)で7着、メンバー層が薄かった宝塚記念(G1)は1番人気に推されるも6着。ファンの間ではピークを過ぎた馬という印象になっていた。
だが、次走の京都大賞典(G2)は川田騎手との初コンビで挑み優勝。サトノダイヤモンドの復活にはファンも大いに盛り上がった。