JRA年度代表馬はアーモンドアイで決まり? 混戦模様の選考争いに終止符……牡馬3冠“栄光の歴史”どんでん返しもジャパンC(G1)直接対決でぐうの音も出ず!?

 29日、東京競馬場で行われたジャパンC(G1)は、アーモンドアイが優勝。引退レースで前代未聞の「9冠馬」に上り詰め、有終の美を飾った。

 この1戦を以てキャリアを終えたアーモンドアイは、12月19日に中山競馬場で引退式を行う予定。シルクレーシングの米本昌史代表取締役は、「約3年の競走生活は毎回感謝しかない。あっという間だったような、夢の中にいたみたいな」と最強女王と過ごした日々を振り返った。

 今後、繁殖入りするアーモンドアイ。初配合の相手には、エピファネイア、モーリスなど一流どころに加えて、さらには海外の種牡馬も視野に入っているという。母となる元“最強女王”の動向は、これからも注目の的となりそうだ。

 コントレイル、デアリングタクトと、無敗の牡馬3冠&牝馬3冠に輝く新鋭が登場したこともあり、一時は年度代表馬の行方は混沌としているとも言われていた。だが、アーモンドアイはジャパンCでこの2頭を相手に貫禄勝ちを収め、今年G1競走に4回出走し、3勝2着1回とほぼ完璧な成績を残している。昨年は有馬記念(G1)などを勝ったリスグラシューに年度代表馬の座を奪われていたが、今年は当確と見てもいいだろう。

 8冠どころか9冠という偉大な記録を樹立したアーモンドアイの年度代表馬選出に意義を唱えるものはいないはずだ。だが、唯一悔恨の念に近いものをコントレイルの陣営は感じているかもしれない。

 

 史上3頭目の無敗3冠制覇に輝いたコントレイル。過去、牡馬クラシック3冠馬は7頭誕生しており、制度開始前だったセントライト以外の6頭すべてが年度代表馬に選出された(※JRA賞の前身である啓衆賞、優駿賞時代を含む)。

 無敗の3冠馬となったシンボリルドルフ、ディープインパクトはもちろんのこと、シンザン、ミスターシービー、ナリタブライアン、オルフェーヴルなど3冠達成前に土をつけられた馬も輝いた。順当に行けば今年はコントレイルが年度代表馬に輝くと考えられていたが、同馬の前に大きすぎる壁がその前に立ちふさがっている。

「今年のジャパンCは3強が揃い、年度代表馬決定戦の様相を呈していました。例年ならば、デアリングタクトのみがジャパンCに出走。菊花賞からの出走間隔が短いことを理由にコントレイルが有馬記念に向かい、アーモンドアイが香港C(G1)へ出走するというパターンもあったはずです。しかし今年はコロナ禍の影響に加え、さまざまな陣営の思惑が複雑に絡み合った結果、3強の直接対決が実現の運びとなりました。

その1戦に勝利したこともあり、アーモンドアイの年度代表馬に待ったを掛ける人はほぼいないと思います。それどころか一昨年以来となる記者投票満票での年度代表馬に輝くこともありえますよ。コントレイル、デアリングタクトの陣営も直接対決で敗れているだけに仕方ないと割り切れるはず。これがなかったら年度代表馬選考は票が割れた可能性もありましたね」(競馬誌ライター)

 今年はアーモンドアイに軍配が上がったか。ただコントレイル、デアリングタクトの2頭には、来年以降もチャンスが残っている。これからも年度代表馬候補に挙げられる走りを見せてもらいたいものだ。

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