JRA岩田康誠「お母さんくらい走れていい」阪神JF(G1)ジェンティルドンナで味わった「屈辱」……抽選「5/7」に託された「千載一遇」のチャンス
13日、阪神競馬場で行われる阪神JF(G1)に、ジェラルディーナ(牝2歳、栗東・石坂正厩舎)が登録をしてきた。
母はG1を7勝したジェンティルドンナ。牝馬三冠など数々のビッグタイトルを手にした名牝だ。
その3番目の仔であるジェラルディーナは、前走の未勝利戦を勝利し、現在収得賞金が400万円。フルゲート18頭のところに20頭の登録があり、「5/7」の抽選にかけて阪神JFへの出走を目論んでいる。
エリカ賞(1勝クラス)への登録も済ませており、抽選に落ちれば北村友一騎手での続戦が予定されるが、抽選に通れば2戦目までコンビを組んだ岩田康誠騎手に再び手綱が戻る予定だ。
岩田康騎手といえば、母ジェンティルドンナの主戦。G1・7勝中、牝馬3冠を含む4勝は岩田康騎手によってもたらされたもの。母と同じコンビの復活に、当時を思いだすファンも少なからずいることだろう。
ジェラルディーナが出走を目論む阪神JFの週に、母は同舞台で未勝利戦を快勝。次のシンザン記念(G3)も勝利し、その後の偉業に繋げた。
牝馬三冠の3戦は2着が全てヴィルシーナで、三冠の最後となる秋華賞(G1)ではハナ差まで迫られたジェンティルドンナ。しかし、岩田康騎手は「抜け出して遊び遊びなところがあった」と、本馬の秘めたポテンシャルを疑わなかった。
その能力を遺憾なく発揮したのが、三冠を終えてのジャパンC。古馬の現役最強馬オルフェーヴルが2.0倍の1番人気に推される中、ジェンティルドンナは3番人気の6.6倍というのがファンの評価であった。レースは17頭立てで、ともに8枠。好スタートを切った2頭であったが、ジェンティルドンナが2番手と先行したのに対し、オルフェーヴルは後方からと対照的なレース運びとなる。
最後の直線では、外から捲ったオルフェーヴルが先に抜け出す展開。しかし、内をこじ開けたジェンティルドンナが盛り返し最後の250mは壮絶な叩き合いになった。歴史に残る鼻面を併せたゴール――。
ハナ差で勝利したのは、ジェンティルドンナだった。
岩田康騎手はレース後「初めて本気のジェンティルドンナの走りを見せられて良かったです」と、現役王者を負かした本馬を労った。
その後はドバイシーマクラシック(G1)2着、宝塚記念(G1)3着、天皇賞・秋(G1)2着と勝ち切れないレースが続き降板という「屈辱」を味わった岩田康騎手であったが、その後もG1を3勝したジェンティルドンナ。母となってからはまだG1に出走する仔を出しておらず、今回ジェラルディーナが抽選に通れば母として初めてのクラシック挑戦となる。
ジェラルディーナはまだ1勝馬だが、デビュー戦で岩田康騎手が「まだ浮いて走っている感じ。もっと次はゲートも出るだろうし、お母さんくらい走れていいと思います」と、名牝である母と同等の潜在能力を示唆した馬。
母では途中降板となった岩田康騎手だが、ここは北村友騎手のインフィナイト騎乗で再び巡ってきた「千載一遇」のチャンス。抽選突破なら、大仕事をやってのけても不思議はないはずだ。