JRA日本の「2軍化」進む香港遠征不要説が再燃!? ファンが見たかった有馬記念、ジャパンC実現で…… 改めて問われる「香港逃亡論」の功罪
12月に入り、競馬ファンの多くが暮れの大一番・有馬記念(G1)が気になり始める頃だが、13日に香港のシャティン競馬場で行われる香港国際競走もまた、注目度の高いレースだ。
今年は香港スプリント(G1)にタワーオブロンドンとダノンスマッシュ、香港マイル(G1)に連覇を目指すアドマイヤマーズ、香港カップ(G1)にも連覇のかかるウインブライトとダノンプレミアム、ノームコアが出走を予定している。
昨年はグローリーヴェイズが香港ヴァーズ(G1)で待望のG1初勝利。香港Cを優勝したウインブライトもG1初勝利を挙げたクイーンエリザベス2世C(G1)と同じ舞台で好走と相性の良さを見せた。
日本競馬と香港国際競走は切っても切れない縁がある。
日本調教馬の遠征も敢行され、95年にフジヤマケンザンが香港C(G2・当時)、01年にステイゴールドが香港ヴァーズ、エイシンプレストンが香港マイル、12年にロードカナロアが香港スプリントで初勝利を挙げている。
その一方でこの香港への遠征が日本の競馬に及ぼす影響も大きくなっていることは間違いない。今でこそ4レースすべてがG1競走となっているが、創設当初はいずれもG1ではなく、レースレベルの上昇に連れてG3、G2、G1とグレードが上がっていった。
香港競馬のレベルアップに伴い、外国馬が日本の代表的な国際レースであるジャパンC(G1)より香港を優先することも増えた。これはジャパンCの存在意義に警鐘が鳴らされる原因と少なからず関係があるだろう。外国馬のみならず、日本馬でさえ自国の開催であるジャパンCを使わずに香港遠征を選択するケースすらあるのだから、この影響は軽視できるものではない。
その最たる例が今年のジャパンCや有馬記念ではないだろうか。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトという新旧三冠馬の対決で空前の盛り上がりを見せたレースだが、先に参戦を表明した3歳馬に対し、アーモンドアイは香港Cとの両睨みの状態だった。
最終的に香港ではなくジャパンCを選択したとはいえ、これはいまだ収束気配の見えないコロナ禍の影響が大きかったことは陣営も認めている。事実、昨年の有馬記念参戦も当初予定していた香港C前に熱発で体調が整わなかったことにより、香港遠征を回避したための出走だった。
裏を返せば、熱発がなかったなら、コロナがなかったなら、2年連続で香港Cに使われていた可能性が非常に高かったのである。さらに今年はアーモンドアイだけでなく、クロノジェネシス、ラッキーライラック、グローリーヴェイズ、サリオスなども香港ではなく日本国内のレースに出走したことで秋のG1が盛り上がった。ジャパンCで超ハイレベルの対決が実現したため、メンバーレベル低下が危ぶまれた有馬記念も香港遠征を取りやめた有力馬の参戦でグランプリレースとしての体裁を保てそうだ。