JRA矢作厩舎3頭出しは「人気薄」を狙え!? 朝日杯FS(G1)カイザーノヴァに「9番人気V」G1馬と共通点。秘密兵器の導入も……
20日、阪神競馬場で朝日杯FS(G1)が開催される。2歳牡馬にとって最初のG1タイトルを獲得するのはどの馬か注目が集まる。
そんな朝日杯FSに3頭出しの猛攻を仕掛けるのが矢作芳人厩舎だ。
今年はフェブラリーS(G1)をモズアスコットで制し、コントレイルでは牡馬3冠を達成した矢作厩舎。2年連続のG1・4勝というJRA史上初となる大記録を樹立した。朝日杯FSを制することができれば、さらに箔をつけることになる。
3頭の中で最も人気になりそうなのがホウオウアマゾン。前走のデイリー杯2歳S(G2)では、朝日杯FSで1番人気が予想されるレッドベルオーブとタイム差なしの2着に好走した。厩舎の中のエース格と呼べるだろう。
次に人気がありそうなのがバスラットレオンだ。前走の京都2歳S(G3)は6着に敗れたものの、札幌2歳S(G3)ではソダシの3着。まだまだ見限れない存在である。
そして最も人気薄となりそうなのが、カイザーノヴァだろう。前走はデイリー杯2歳Sでレッドベルオーブと0秒9差の完敗と呼べる内容。勝ち鞍も1200mと1500mということから、距離不安も囁かれている。
だが、人気薄のカイザーノヴァが狙い目となるかもしれない。
矢作厩舎がG1に3頭出しで挑むのは、2年前の安田記念(G1)以来。この時は、4番人気リアルスティールが15着、6番人気リスグラシューが8着、9番人気モズアスコットが1着と、人気と真逆の結果だった。
モズアスコットが人気を落とした原因は、出走を確実にするために挑んだ安土城S(OP)の敗戦だろう。重賞で2着2回の実績を持つ同馬がオープンクラスで2着に敗れたことで、連闘となるG1で勝てるわけがないという見方が強まった。
しかし、蓋を開けてみれば、まさかの圧勝。これには見逃してはいけない点があった。
「当時、モズアスコットとのコンビで結果を残していたのはC.ルメール騎手でした。しかし、安土城Sはデビュー3年目の坂井瑠星騎手が手綱を取っています。これが敗因のひとつだったかもしれません。
安田記念はルメール騎手とのコンビ復活だったので、結果論にはなりますが、そこまで評価を下げる必要はありませんでしたね。
今回、カイザーノヴァは坂井騎手から池添謙一騎手に乗り替わりとなります。テン乗りでも大舞台で結果を出している騎手なので、期待できそうですね」(競馬記者)
昨年のマイルCS(G1)では初コンビを組んだインディチャンプを優勝に導いた池添騎手。今年の安田記念でもグランアレグリアでアーモンドアイを負かすなど、勝負強さに定評のあるジョッキーだ。
坂井騎手からの乗り替わり、矢作厩舎3頭出しの人気薄という点が、カイザーノヴァとモズアスコットが重なるのだ。
さらに、カイザーノヴァに激走の予感が漂う理由は馬具の工夫である。
「この中間、シャドーロールを着用して追い切りの動きが良くなったようです。レースでも効果が出ることが期待されますので、一変があってもおかしくないですよ」(同)
シャドーロールとは頭絡の鼻革にボア状のものを装着したもので、下方の視界を遮ることでレースに集中する効果が得られる。「シャドーロールの怪物」として名を轟かせたナリタブライアン、最近ではアーモンドアイが着用した馬具だ。
騎手と馬具の効果でカイザーノヴァが、2年前の人気薄大激走の再現をするかもしれない。