有馬記念(G1)4歳牡馬にグレード制導入後「最弱世代」の危機。武豊ワールドプレミアらが直面、非常事態回避のカギは“最も勝利に近づいた”アノ馬が握る!?
27日に中山競馬場で開催されるグランプリ・有馬記念(G1)。今年はホープフルS(G1)が前日の開催となるため、JRA主催レースでは年内最後のG1競走として行われる。
アーモンドアイの9冠達成、コントレイルとデアリングタクトがそれぞれ無敗3冠馬に輝くなど、2020年の競馬界は話題が絶えなかった。その中でも、牝馬の活躍は忘れてはならない。
天皇賞・春(G1)以外、古馬混合の芝G1はすべて牝馬が優勝。アーモンドアイ、グランアレグリア、ラッキーライラック、クロノジェネシス、モズスーパーフレアの5頭で8つのG1タイトルを獲得している。
唯一、面目を保っているのがフィエールマンだが、天皇賞・春に出走した牝馬は13番人気のメロディーレーンだけ。そんな状況での勝利だけに、有馬記念を勝って牡馬の意地を見せたいところだろう。
ただ、最も深刻なのが4歳牡馬だ。
今年のG1レースで4歳牡馬の成績は[0-0-3-23/26]で、未勝利どころか連対率すら0%である。多くのサラブレッドが4歳に能力のピークを迎えるといわれているだけに、この結果は非常事態とも言える。
もし、有馬記念も勝利することが出来なければ、グレード制導入後初の「4歳牡馬G1未勝利」となってしまう。そのため、有馬記念に出走予定のオセアグレイト、モズベッロ、ワールドプレミアの3頭には大惨事回避に大きな期待がかかる。
今年のG1で4歳牡馬が1番人気に支持されたのは大阪杯のダノンキングリー(3着)、宝塚記念のサートゥルナーリア(4着)、チャンピオンズCのクリソベリル(4着)の3頭。特に、確勝級の呼び声高かったクリソベリルの敗戦は痛手となった。
また、最高着順の3着に入ったのは、前述のダノンキングリー、宝塚記念のモズベッロ、マイルCSのアドマイヤマーズだった。
だが、最も勝利に近づいたのはこの3頭ではない。
それは3月に行われた高松宮記念(G1)で1位入線を果たしたクリノガウディーだ。
15番人気の低評価を覆して、最初にゴール板を駆け抜けたクリノガウディーだが、最後の直線で斜行したとして4着に降着処分となった。その後、「幻のG1馬」として重賞を4走するも1度も馬券に絡むことができていない。
そしてダノンキングリー、サートゥルナーリア、クリソベリルが敗戦と、負の連鎖が続いた。もしかすると、4歳牡馬がG1不振に陥ったきっかけはクリノガウディーの降着だったのかもしれない。
そんなクリノガウディーは有馬記念の前日に行われる阪神C(G2)に出走を予定している。ここを制することで悪い流れを断ち切り、有馬記念に出走する同世代にバトンを繋ぐことができるだろうか。
背水の陣となる4歳牡馬のカギはクリノガウディーが握っているのかもしれない。