JRA武豊騎手&武幸四郎調教師「コンビ初勝利」グアンが競走登録抹消…… 兄弟コンビの「クラシック挑戦」は世界的良血馬に託される
武豊騎手と武幸四郎調教師のふたりにとって、思い入れの深い1頭であるグアン(牝5歳)が、そのキャリアに終止符を打ったという。
グアンはキーファーズが所有し、2017年9月に池江泰寿厩舎からデビュー。他のキーファーズ所有馬と同じように、武豊騎手が主戦を務めていたが、芝のレースで3戦するも勝利はなかった。
このまま脚光を浴びることなく、ひっそりとキャリアを送るかと思われていたグアン。だが翌年の3月に転機が訪れる。この年から厩舎を開業した武幸四郎厩舎に転厩することになったからだ。
幸四郎厩舎が初めて競馬場に送り込む1頭に選ばれたグアンには、実兄である武豊騎手が継続して騎乗。ここがダート転向初戦となったグアンだったが、先行すると最後の直線でも脚が鈍ることなく、抜け出して優勝。初となる武豊騎手×武幸四郎師の“兄弟コンビ”の船出を祝うかのように完勝してみせた。
「幸四郎厩舎の一世一代の晴れ舞台とあって、武豊騎手との親交が厚いキーファーズが『兄弟コンビ実現』のお膳立てをしたようです。パドックではグアンの近くにいた幸四郎師に武豊騎手がペコリとお辞儀。“先生“になった弟に茶目っ気たっぷりに挨拶していた姿が印象的でした。
また、もともとグアンを管理していた池江師の協力もあったみたいですね。この日に合わせて万全の状態に仕上げてもらっていたようで、幸四郎師も感謝していましたよ」(競馬誌ライター)
多くの人々のバックアップを受けて、2011年の高橋義忠師以来となるJRA初出走・初勝利を挙げた幸四郎師は、この年に16勝を挙げる活躍。2年目は勝ち星こそ減少させたものの、ハッピーアワーがファルコンS(G3)を優勝し、管理馬の重賞勝利も経験した。
そして3年目となった今年は、現時点でも28勝とキャリアハイの成績を収め、そのうち武豊騎手との“兄弟コンビ”で5勝を挙げている。
「その5勝の中には、父フランケル、母デインドリームの世界的良血馬オンラインドリームもいます。まだ新馬戦を勝利しただけですが、次走に予定されている紅梅S(L)で結果を残すことができれば、牝馬クラシック初戦の桜花賞(G1)も視野に入るはず。兄弟コンビで大舞台に挑戦する可能性も出てくるでしょうね」(競馬記者)
今後も続いていくだろう武豊騎手×武幸四郎師の兄弟コンビ。このコンビが幸先のいいスタートを切るのに一役買ったグアンだったが、その後は思うような活躍はできず、この度無念の登録抹消となってしまった。
しかし、これからもこの兄弟コンビが活躍するたびに、その名は思い出されるはずだ。第二の馬生を歩むことになったグアンの今後を祈りたい。