オジュウチョウサンの「殿堂入り」は何故、極めて難しいのか。JRAの手に余った障害王グランドマーチスの伝説
26日に中山競馬場で行われる障害王者決定戦・中山大障害(G1)。今年もハードル界の頂点を狙う多士済々なメンバーが集まったが、やはり絶対王者オジュウチョウサン(牡9歳、美浦・和田正一郎厩舎)の姿がないのは寂しい限りだ。
今春の中山グランドジャンプ(G1)で5連覇を飾ったオジュウチョウサンだったが、秋の始動戦となった京都ジャンプS(G3)でまさかの敗戦……。最終障害で躓き、最後の直線で本来の伸びを欠くと約4年半ぶりに障害レースで後塵を拝した。
敗戦の影響もあって休養中のオジュウチョウサンは、6連覇が懸かる来春の中山グランドジャンプに向けて英気を養っている。しかし、障害界の絶対王者も来年で10歳。引退の足音は確実に近づいている。
そんな中、改めて注目されているのが、オジュウチョウサンが史上2頭目となる「障害馬による殿堂入り」できるか否かである。
これまで中山グランドジャンプ5連覇を含めてG1・7勝。同じ数のG1を勝った平地競走馬が漏れなく顕彰馬に選出されている通り、本来であればオジュウチョウサンは殿堂入りして当然の実績馬だ。
だが、平地と比較して注目度が劣る障害馬の殿堂入りとなると、そう簡単ではないようだ。
例えば、先述した通り、オジュウチョウサンは中山グランドジャンプを5連覇しているが、実はかつてバローネターフという名ジャンパーが中山大障害を5勝(当時は中山グランドジャンプを中山大障害・春、中山大障害を中山大障害・秋と呼び同一に扱われていた)している。だが、このバローネターフでさえ殿堂入りの高き壁に阻まれているのが現実だ。
また、障害馬の「伝説的な存在」として外せないのが、1963年から春秋の中山大障害を4連覇したフジノオーだ。その圧倒的な戦績も然ることながら、キャリアの晩年には欧州遠征を敢行した異色の存在。フランスで2勝しただけでなく、世界最大の障害レースとして知られる英国のグランドナショナルに唯一挑戦した日本馬でもある。
だが、このフジノオーでさえ、バローネターフと同じく殿堂入りは叶っていない。やはり平地馬と比較して、日本では何かと評価されにくい障害馬が殿堂入りすることは、ただ単に素晴らしい成績を残しただけでは難しいのかもしれない。
では、その上で障害馬史上「唯一の殿堂入り」を果たしているグランドマーチスとは、如何なる存在だったのだろうか。