M.デムーロ「皆さんごめんなさい」プレッシャーで度忘れ!? 東京大賞典(G1)3連覇達成も「お得意のポーズ」は……12月「0勝」から起死回生の勝利
29日、大井競馬場で行われた東京大賞典(G1)は、M.デムーロ騎手が騎乗した1番人気のオメガパフューム(牡5歳、栗東・安田翔伍厩舎)が優勝。同レース史上初の3連覇を達成した。
16頭立てのレースを7番ゲートからスタートしたオメガパフュームは、ゲートにもたれる感じで後方から。しかし、二の脚は速く中団まで押し上げると、道中は好位の外目を追走。前に2番人気のダノンファラオを見る絶好の位置取りで3コーナーを迎えた。
ダノンファラオが仕掛けを開始すると、それを見るように外からオメガパフュームも進出し、直線で先頭に立ったカジノフォンテンを追撃する。しかし、ダノンファラオは残り200mで早くも脱落。粘るカジノフォンテンに、それを追うオメガパフューム、さらに外からウェスタールンドが迫り、3頭の争いになった。
残り100mでオメガパフュームが先頭に立つが、それに食い下がるカジノフォンテン。外から迫ったウェスタールンドも最後は脚色が一緒になり、そのまま押し切ったオメガパフュームが勝利した。
レース後のインタビューでデムーロ騎手が「メンバーを考えたら結構弱いと思ったけど、展開はとても厳しかったですね」と話したのは、近走の相手が強かったということだろう。大井で出走したオメガパフュームの近2戦は、帝王賞(G1)、JBCクラシック(G1)で2着。勝利したのはともに当時、国内無敗のクリソベリルだった。それだけに負けられない一戦だったということだろう。
また、今年のデムーロ騎手はJRA移籍後で最も少ない「年間65勝」と不振に陥った年でもある。さらに、12月はここまで「0勝」と今までになく精彩を欠いており、勝利から遠ざかっていた状況を考えればプレッシャーも相当にかかっていたはずだ。
「早め先頭立ったら物見をするから、ちょっと難しい展開だった」という言葉からも、人気馬だけに仕掛けどころも難しかったはず。今回の勝利は、デムーロ騎手にとって胸を撫で下ろす勝利だったに違いない。
勝利騎手インタビューでは「とっても嬉しいですね。皆さんごめんなさい、飛行機してなかったです」とプレッシャーから解き放たれた気のゆるみか、勝利後にガッツポーズは出たものの、馬上で手を広げる「お得意のポーズ」は度忘れしていたようだ。
プレッシャーに打ち勝ち、史上初の偉業を成し遂げたデムーロ騎手。来年は、かつての輝きを取り戻したような活躍に期待したい。