JRAあわや「油断騎乗」も間一髪!? 追わない騎手にファンの不満が爆発…… 関東のベテランが手応え詐欺にヒヤヒヤ
関東のベテランもさすがに肝を冷やしたに違いない。
10日、中山競馬場で行われた8R(1勝クラス)は、北村宏司騎手の6番人気ユメノサキ(セ6、美浦・新開幸一厩舎)が勝利。2着に4番人気レアリザトゥール、3着には3番人気ポーラーサマーが入り、3連単は8万7010円の波乱となった。
この高配当の立役者となったのが北村宏騎手。先行馬が残りやすい中山ダート2400mの長丁場で、直線2番手からの積極的な騎乗が勝利に結びついた。
しかし、最後の直線の騎乗については、あまり褒められた内容ではなかったのかもしれない。
16頭立てのレース。武藤雅騎手のレアリザトゥールが果敢にハナを奪うと。他に主張する騎手はおらず、隊列はそのまま落ち着いた。道中これといって大きな動きもなく、中間のラップも13秒台、14秒台が連発するスローペースで展開。向こう正面から3コーナーにかけて後方待機組が追い上げを図るも、先行勢は前半の貯金を活かして最後の直線に入った。
独り旅を続けていたレアリザトゥールは、直線入り口で武藤騎手の手綱が激しく動いて脚色が怪しくなる。これに抜群の手応えで並びかけたのが北村宏騎手のユメノサキだった。残り200mを過ぎ、いつでも交わせそうなユメノサキと、終始追い通しのレアリザトゥールの差は明らか。北村宏騎手としては、後ろから強襲してくる馬に警戒したのかもしれない。
異変に気付いたのはゴールまで残り100m過ぎだった。いつ止まってもおかしくなかったはずのレアリザトゥールが内で粘り続けていたのだ。これには北村宏騎手も慌てて追い出し、2頭は鼻面を合わせてゴール。結果は写真判定までもつれ込んだ。
判定の結果、最終的にユメノサキがハナ差で1着となり、北村宏騎手は取りこぼし自体を何とか回避ができた。しかし、手応えが十分にありながら最後の最後まで追い出しが遅れたことに対し、競馬ファンから賛否両論が沸き起こった。
ネットの掲示板やSNSでは「勝つ気ないの?」「負けたと思った」「ムチくらい入れてくれ」など、北村宏騎手の騎乗を不満に思ったファンの言葉も出た。
「おそらくユメノサキがソラを使うことに注意を払っていたかもしれませんね。早めに抜け出してしまうと気を抜く癖のある馬の場合、先頭に立った途端に集中力を欠いてしまうことがあります。
ただ、思った以上に内の馬が粘ったため、さすがに肝を冷やしたのではないでしょうか。勝つには勝ちましたがハナ差と際どかったですからね」(競馬記者)
レース後、北村宏騎手が「前走に続いて癖は分かっていましたからね。反抗する面があるのでその点に気を付けて乗っていました」とコメントしていることからも、ユメノサキが乗り難しい馬だったと察しもつく。
その一方でもし2着に敗れていれば、油断騎乗と紙一重になりかねない。厳罰が下された場合は、騎乗停止30日(開催日9日間相当)という処分も下された例もある。
最悪の事態は避けられたとはいえ、北村宏騎手も内心はヒヤヒヤしたのではないだろうか。