JRA「ルール変更」は騎手にとって神改正!? 丸山元気「騎乗停止」も危機一髪……素質絶賛のクラシック候補とコンビ続行
9日、丸山元気騎手は中山2Rでジェイエルブリッジ(牡3、美浦・小西一男厩舎)に騎乗し、最後の直線で外側に斜行。接触したアスマスティーブが転倒して競走を中止したため、このことについて23日から31日まで騎乗停止処分が下された。
直線の勝負所での出来事だったとはいえ、少々強引に外に持ち出そうとした際の斜行。後ろの馬との距離が十分でなかったタイミングが仇となった。
ただ、丸山騎手としては不幸中の幸いだったのかもしれない。
なぜなら17日の京成杯(G3)には、クラシック候補といわれるヴァイスメテオールがスタンバイしていたからである。同馬は昨年の10月に東京でデビュー。サトノクラウンの半弟シテフローラルを2着に下した素質馬だ。
丸山騎手のヴァイスメテオールへの期待はかなり大きい。デビュー勝ち後には「イメージ通りの競馬ができました。まだ馬体が緩い状況で、これだけのパフォーマンスができたのだから素晴らしい馬です」とポテンシャルの高さを絶賛。コメントの内容からも、今年のクラシックパートナーとして楽しみにしている馬だと想像できる。
以前であれば騎乗停止の処分が下された場合、翌週から適用されるのが通常だった。しかし、JRAは2020年の1月1日からのルール改正を発表。それまでの翌週から、1週間繰り下げて適用されるようになった。
その理由としては『処分の統一的な運用、不服申立てがあった際の十分な審理時間の確保およびルールの国際調和の観点から、騎手に対する騎乗停止処分の始期を現行より一週繰り下げ、原則として翌々節からの発効とします』(JRAホームページより)というものだ。
昨年、この改正の恩恵を最も受けた騎手の1人は北村友一騎手だろう。同騎手は3月1日に阪神競馬場で行われた阪急杯(G3)でダイアトニックに騎乗。最後の直線で内側に斜行したため、フィアーノロマーノの走行を妨害したとして2位入線から3着に降着。この件について、3月14日から3月28日まで15日間の騎乗停止処分となった。
このときの北村友騎手はデビューから3連勝で阪神JF(G1)を制したレシステンシアというパートナーがいた。以前であれば翌週からの適用のため、レシステンシアが出走を予定していた3月7日のチューリップ賞(G2)の騎乗が出来なくなるところだった。
だが、ルール改正で一週間繰り下がりとなったことにより最悪の事態を回避することに成功。残念ながらチャンスを活かすことが出来ず3着に敗れ、本番の桜花賞(G1)は武豊騎手へバトンタッチとなったが、以前までの騎乗停止でノーチャンスだったことに比べれば納得できたはずだ。
また、有力馬を抱える各馬の陣営にとって、乗り慣れた騎手をレース直前で確保できなくなることは避けたいだけに、恩恵は少なからずあるだろう。
今回、あわやコンビ解消の危機を間一髪で回避出来た丸山騎手としても、騎乗停止処分の繰り下げはまさに「神改正」だったといえそうだ。