JRA天皇賞馬の血が「ダート」で躍動!? アウォーディー、ラニらに続きノースヒルズゆかり「逆輸入」産駒ルーチェットがデビュー勝ち
30日、中京競馬場で行われた4Rの新馬戦は、5番人気のルーチェット(牝3歳、栗東・松永幹夫厩舎)が優勝。低評価に反発した良血馬が、砂上で躍動した。
レースは9頭立てのダート1800m戦。各馬が五分のスタートを切ったが、キクノディーンが押し出される形でハナへ立つ。
ルーチェットもまずまずのスタートを切ったが、騎乗した岩田望来騎手が「二の脚がもうひとつでした」と振り返ったように序盤は後方から。しかし、1コーナーでは内枠を利して最内2列目の好位をキープした。
道中は淡々と流れ、スローペースでレースは展開。4コーナーでキクノディーンが少し外に膨れると、ルーチェットはラチ沿い1頭分をすくう。
ロスのないレース運びで、道中のスタミナを温存したルーチェット。岩田望騎手が「ペースアップにもいい手応えで行くことができましたし、狭いところからもいい反応をしてくれましたね」と語ったとおり、レースセンスの良さが光った。
直線では逃げたキクノディーンが一杯になり、先行したキャリアリズム、ケイアイロベージと横に3頭並んでの叩き合い。ルーチェットが抜け出したところに外から1番人気のキャリアリズムがジリジリと迫ったが、最後はルーチェットが追撃を交わし切り半馬身差で接戦を制した。
レース後、岩田望騎手は「いい競馬で勝つことができました」と同馬を称賛。「まだ緩さもあるので、これから更に良くなっていくと思います」と今後の期待を口にした。
勝利したルーチェットは逆輸入のキズナ産駒で、父キズナに母がアムールブリエという血統。母の母はヘヴンリーロマンスであり、ノースヒルズゆかりの血統だ。
ヘヴンリーロマンスといえば、2005年の天皇賞・秋(G1)を制した女傑。元JRAジョッキーの松永幹夫調教師が現役時代は主戦を務め、天皇賞を勝利後、メインスタンドで競走を天覧した天皇・皇后両陛下に馬上から最敬礼した姿は印象深く記憶に残っていることだろう。
芝のレースで活躍したヘヴンリーロマンスだが、産駒にはダートでの活躍馬が多数。重賞勝ち馬も複数おり、ルーチェットの母アムールブリエを含め、近親ではアウォーディーやラニもいる。
ラニは3歳時にUAEダービー(G2)を制しており、アウォーディーは5歳でダートに転向後6連勝でJBCクラシック(G1)に優勝。ルーチェットの母アムールブリエも地方の重賞を6勝した馬だった。
ルーチェットはキズナ産駒も、今回の勝利からは母の影響も大きいのだろう。アウォーディーやラニに続く、ダートでの活躍に期待したい。