JRAダート「大失敗」ステルヴィオに、横山武史騎手も「やはり芝の方が……」ロードカナロア産駒で明暗くっきり「決定的」な違いとは
ロードカナロア産駒でも明暗を大きく分けた。
1月31日に行われた根岸S(G3)はレッドルゼルが優勝。フェブラリーS(G1)に向けて価値ある勝利となった。
管理する安田隆行調教師にとっても感慨深い勝利だったようだ。
レース後、安田隆調教師は「ロードカナロア産駒がダートの重賞を勝っていなかったので、これはうちの厩舎で勝たないと、と思っていました。ダートで勝っていないのは、たまたまですね」とコメント。かつて自身が管理した名スプリンターの産駒でダート重賞一番乗りを果たし、喜びもひとしおの様子だ。
ロードカナロアは現役時代に芝でG1・6勝を挙げていることから、活躍している産駒も芝の方が多い。アーモンドアイ、サートゥルナーリア、ダノンスマッシュなどに代表される。
だが、安田隆厩舎の管理馬はダートでも好走しているというデータがある。
●ロードカナロア産駒の通算成績(勝率、連対率、複勝率)
・全体
芝 12.4%、22.3%、30.6%
ダート 10.3%、19.1%、27.9%
・安田隆厩舎
芝 22.8%、36.5%、45.2%
ダート 21.9%、42.1%、53.5%
全体では芝優勢の傾向だが、安田隆厩舎の管理馬ではダートでも遜色ない成績。むしろ連対率と複勝率に関してはダートが上回っている。そのため、レッドルゼルが重賞制覇してロードカナロア産駒がダートも走るということが証明できて嬉しいのだろう。
その一方、同じロードカナロア産駒でダートデビューに失敗したのがステルヴィオ(牡6歳、美浦・木村哲也厩舎)だ。
18年のマイルCS(G1)勝ち馬であるステルヴィオだが、それ以降は2年以上も勝利から遠ざかっている。そこで下された決断が根岸Sの出走、つまりダート転向だった。
昨年の根岸Sは初ダートのモズアスコットが優勝し、勢いそのままフェブラリーSも制した。このほかにも、クリンチャー、エアアルマスなど芝からダート転向で能力開花した馬もいるため、ステルヴィオにも期待がかかった。
しかし、結果は10着に惨敗。レース後、横山武史騎手が「スタートで脚を取られる感じがしたので、現状は“やはり”芝のほうが良さそう」と話していることからも、ダートは合わなかったようだ。
モズアスコットは父フランケルということでダート適性を疑問視されたが、母系が米国血統ということが成功のカギだった。
その一方、ステルヴィオの母父は欧州馬のファルブラヴ。産駒の重賞勝ちはすべて芝レースである。それに対して、レッドルゼルの母父は米国馬のフレンチデピュティ。クロフネ、サウンドトゥルーなどのダートG1を制した産駒を輩出していることからも、母系のダート適性はこちらの方があったと考えられる。
もしかすると、横山武騎手が「やはり」と話したのはこのあたりかもしれない……。
今回、ステルヴィオはダートデビューを失敗に終わったが、まだまだ芝での活躍に期待できるだろう。かつてはロゴタイプも根岸Sで惨敗しており、その後に安田記念(G1)を制している。
年齢的に衰えも懸念されるステルヴィオだが、次こそは適性舞台で能力を発揮してほしいものだ。