JRAも前代未聞!? サウジC・1着賞金「11億円」支払われないまま第2回開催へ……初代”勝ち馬”すでに引退もドロ沼化

 世界最高賞金を誇るサウジCの登録締め切りが9日に迫っている。

 昨年、優勝賞金1000万ドル(約11億円)というド派手な超高額賞金をぶち上げて誕生したサウジC。5着以内に入るだけで日本のダート王決定戦フェブラリーS(G1)の1着賞金を上回り、昨年日本から参戦したゴールドドリームとクリソベリルは6着、7着と結果だけを見れば惨敗だが、それぞれ約6600万円、約5500万円の賞金をゲットしたことは大きな話題を生んだ。

 あれから約1年。第2回目を迎える今年はコロナ禍ということもあり、日本からはチュウワウィザード1頭の参戦に留まったが、今後の日本競馬に新たな選択肢をもたらしたことは間違いないだろう。

 そんなサウジCだが、記念すべき第1回となった昨年に思わぬ味噌が付いてしまった。

 勝ったマキシマムセキュリティはダート競馬の本流・米国のトップホースであり、格だけを見れば初代王者に相応しいといえる。しかし、レース終了後、本馬を管理するジェイソン・サーヴィス厩舎などで薬物疑惑が浮上。米競馬史上最大規模の黒歴史に、産声を上げたばかりのサウジCが巻き込まれる形になってしまったのだ。

 その後、サーヴィス厩舎の常用的な禁止薬物使用が発覚するなど事件はドロ沼化……すでにマキシマムは引退しているが、サウジCは未だにマキシマムセキュリティ陣営に賞金を支払われないまま第2回開催を迎えようとしている。

「勝ったマキシマムセキュリティ以外の賞金はすべて支払われたようですが、本馬の薬物疑惑が正式に解明されていないため、約11億円の1着賞金だけが宙に浮いている状況です。仮に失格になれば、2着以下の馬たちの着順が繰り上げになるはずですし、そこでまた莫大な賞金が動くことにもなるかも。

主催のサウジアラビアジョッキークラブとしてもドロ沼化したまま第2回を迎えるのは、ホストとしての信用に関わってくるでしょうし、何とか問題を解決してレースを迎えたいところでしょうね」(競馬記者)

 また、賞金総額約21億円を誇るサウジCだが、格付けは未だリステッド競走の扱いに留まっている。つまり重賞のように2着賞金(約4億円)が本賞金として加算されるわけではなく、勝った騎手や調教師の記録もあくまで「オープン競走の勝利」となるということだ。

 これはサウジCが開催されるサウジアラビア競馬が、国際セリ名簿基準委員会から競馬先進国とされるパート1国に認められていないことに起因する。だが、代表レースの1着賞金未払い問題は、今後のサウジアラビア競馬のイメージにも小さくはない影響を及ぼしてしまうかもしれない。

 なお、前出の記者曰く事情が事情ながら、勝ち馬の賞金が支払われないまま再度レースが開催されることは前代未聞だという。世界最高額として「賞金」が大きく注目されているレースだけに、一刻も早くスッキリさせてレースを迎えたいところだろう。

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