JRA新人ジョッキーの活躍は親次第!? 今年も8名中5名は父親が競馬関係者。ここ数年も斎藤新&岩田望来が大活躍!
特に有利なのは父が調教師の場合だ。当然のことながら、息子はその父親が管理する馬の騎乗機会が多く得られるチャンスがあるのだから、これは他の新人騎手と比較して断然の有利ポイントと言っていいだろう。
一例を挙げれば、2019年にデビューした斉藤新騎手は、美浦の斎藤誠調教師の息子。デビューした2019年は575回の騎乗のうち、約10分の1の58回が父である斎藤誠厩舎の管理馬。続く昨年も699回の騎乗のうち73回が斎藤厩舎の管理馬だった。そして今年も、全40回の騎乗で約3分の1である14回を斎藤誠厩舎の管理馬に騎乗しており、デビューから3年すべてで、斎藤厩舎は最多騎乗厩舎となっている。
斉藤誠厩舎は2019年に387回、2020年は369頭が出走したが、2019年は最多の58回、2020年も最多の73回で斎藤新騎手が騎乗している。斎藤誠厩舎は美浦所属、そして斎藤新騎手は栗東所属、つまり東西で分かれているにも関わらず、斎藤誠厩舎の主戦騎手は息子なのである。これだけを見ても、やはり父親が調教師というのはとてつもなく大きなアドバンテージになる場合があると言って間違いない。
逆にその影響を受けるのは既存の騎手だ。2018年に斎藤誠厩舎で最も多く騎乗したのは、美浦の大野拓弥騎手で35回、続いて田辺裕信騎手が30回となっている。しかし斎藤新騎手がデビューすると、大野拓弥騎手も田辺裕信騎手も斎藤厩舎の騎乗数が年々減少し、今年に入って大野騎手はわずか1回、田辺騎手はなんとゼロなのである。
一方で斉藤新騎手は初年度から父である斉藤厩舎の管理馬に多く騎乗し、年間42勝のうち9勝が父の管理馬でのもの。もしこの9勝がなければ33勝にとどまり、JRA最多新人騎手は37勝をあげた岩田望来騎手が獲得していただけに、父のバックアップは大きな効果となっていたのだ。
もちろん親の七光りだけで勝てたわけではない。斎藤新騎手の活躍によって、2019年の斎藤誠厩舎は年間38勝と前年より14勝も多く勝利したのも事実。その年の斎藤誠厩舎での勝率は15.5%と高く、騎乗馬の質の違いはあれど、戸崎圭太騎手や内田博幸騎手よりも高い勝率を記録したのだから、見事な相乗効果となったとみて間違いない。
これからデビューする新人騎手の中では、特に角田晃一厩舎と角田大和騎手のコンビに注目だ。騎乗数もさることながら、多くの勝負馬がこの息子に回るとみていいだろう。
今年の新人騎手がデビューを迎えるのは早くて3月6日。彼らがC.ルメールや武豊、川田将雅騎手を相手にどんな騎乗を見せるか、新たな2名の女性騎手は藤田菜七子騎手に続く旋風を巻き起こせるか、今から非常に楽しみだ。