JRA弥生賞(G2)大本命ダノンザキッドに「2つ」の死角。馬場悪化なら大荒れ必至!?
全国的に荒れ模様となった2日、大阪管区気象台は近畿地方で春一番が吹いたと発表。日本列島には春の足音が近づいている。
競馬界で最も春を感じさせるレースの一つが7日に開催される弥生賞ディープインパクト記念(G2)だ。今年は、昨年末のホープフルS(G1)を制したダノンザキッド(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)が出走予定。他に重賞勝ち馬はおらず、単勝1倍台前半の圧倒的1番人気が予想される。
弥生賞は比較的1番人気の信頼度が高いレース。過去10年で1番人気に支持された馬は「4-2-0-4」で60%という高い連対率を誇る。しかし、馬場状態によってその信頼度は大きく変わる。
良馬場時の「4-1-0-1」に対し、稍重・重の時は「0-1-0-3」(過去10年で不良は一度もない)。今週末の中山競馬場周辺の天気予報は「土日ともに曇り一時雨」。もし予報が当たれば、ダノンザキッドにとって死角の一つになり得るだろう。
「競馬と同じで、この時期の天気予報は外れることも多い印象です(笑)。ただ、3月は10月と並んで1年で最も道悪開催が多い月です。もし予想以上に馬場が悪化すれば、ダノンザキッドには試練となるかもしれません」(競馬誌ライター)
デビューから3連勝中のダノンザキッド。快勝した新馬戦は稍重だったが、東京スポーツ杯2歳(G3)とホープフルSはともに良馬場開催だった。重・不良馬場の経験はなく、極端な道悪馬場に対応できるかどうかは未知数といえる。また、不安を増大させるのがジャスタウェイ産駒の道悪成績だ。
【ジャスタウェイ産駒、馬場状態別通算勝率(芝のみ)】
良 9.1%(832戦76勝)
稍重 7.1%(184戦13勝)
重 6.2%(80戦5勝)
不良 0.0%(28戦0勝)
ご覧のように、良馬場の9.1%から馬場悪化とともに勝率は低下。なんと不良馬場では、28戦して未勝利である。
また、もう一つ気になるのが、ジャスタウェイ産駒が、3歳のこの時期(1~3月)に伸び悩むという特徴があることだ。
【ジャスタウェイ産駒2~3歳時の時期別通算勝率】
2歳 6~ 9月 9.2%(173戦16勝)
2歳10~12月 7.0%(302戦21勝)
3歳 1~ 3月 5.7%(367戦21勝)
3歳 4~ 6月 7.5%(335戦25勝)
3歳 7~ 9月 7.3%(246戦18勝)
3歳10~12月 12.1%(116戦14勝)
ジャスタウェイ自身は現役時代、どちらかというと晩成傾向で、本格化したのは古馬になってからだった。ただ、デビュー戦はしっかり勝利を収め、新潟2歳S(G3)でも2着と早くから素質の片鱗をのぞかせていた。
その産駒は2歳夏から秋にかけて高勝率を残しているが、3歳1~3月は、やや数字を落としている。その後、3歳4月以降には持ち直して、本格化するのは3歳秋以降。つまり、産駒の成長曲線は自身の現役時代によく似ているといえる。
そうなると、ダノンザキッドも“停滞期”に差し掛かっていてもおかしくない。ジャスタウェイ産駒特有の「道悪」と「停滞期」。ダノンザキッドはこの2つの壁を突破して、無敗で皐月賞(G1)に駒を進めることはできるだろうか。