JRA皐月賞には直結せず?存在価値が薄まる「弥生賞」馬から、スターホースが誕生しないこれだけの理由

 しかし、皐月賞へ直行するローテが最近のトレンドになっている。2019年サートゥルナーリア、2020年コントレイルの2頭は、ホープフルS(G1)を制して年内休養。弥生賞には目もくれず、皐月賞直行の「新王道」ローテで栄えある皐月賞馬に輝いた。

 陣営としては、今までは皐月賞と同じ舞台を経験できることがメリットだった弥生賞も、ホープフルSで経験できるようになったこと、さらに高額賞金を獲るチャンスもできたことから、弥生賞を軽視する思惑があっても不思議ではない。

 さらには、できるだけ馬を消耗させることなくクラシック路線を戦いたい……というのも陣営の本音だろう。ホープフルSがG1に昇格したことで、弥生賞を使わずとも高いレベルで中山2000mを経験できるという点も大きい。

 JRAのG1乱立に警鐘を鳴らす競馬ファンも多いが、ホープフルSのG1化によって、その存在価値が希薄になりつつある弥生賞。歴史を振り返れば、1993年ウイニングチケットや1998年スペシャルウィークなどが優勝。2010年ヴィクトワールピサを最後に、弥生賞優勝馬からスターホースが誕生していないのが現実だ。

 奇しくも昨年から、2019年に死去したディープインパクトの重賞初勝利となった弥生賞のレース名が改称。同馬の冠競走「弥生賞ディープインパクト記念」として開催されることになった。2005年に優勝したディープインパクトも、近年の弥生賞馬の不甲斐なさを天国で嘆いているのではないだろうか。

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