JRA横山武史「恋人」意識で、まさかの回答拒否!? 「ちょっと難しいですね、その質問は」弥生賞(G2)タイトルホルダー完勝も“口下手”は父親譲り?
7日、中山競馬場で開催された皐月賞トライアル弥生賞ディープインパクト記念(G2)は、4番人気のタイトルホルダー(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)が2歳王者ダノンザキッドを破る大金星。昨年、重賞初勝利を飾った鞍上の横山武史騎手は、これが早くも今年2勝目となった。
「調教の時から『良い馬』という感触があったので。スタートもいつも速いですし、こういう形(逃げ)になるのもイメージ通りでした」
レース後の勝利騎手インタビューでそう語った横山武騎手は、まさにしてやったりの表情。昨年、22歳という若さで史上最年少となる関東リーディングに輝いた若武者は、今年も同3位につけるなど充実のシーズンを送っている。今、最も乗れている若手騎手と述べても、決して過言ではないだろう。
しかし、インタビュアーから「2歳王者(ダノンザキッド)に勝ったという意味は、どういう風に捉えていますか?」という質問を受けて、軽快だった口調が急に止まった。
「うーん、そうですね……」
述べるまでもなく、前哨戦で「ダノンザキッドに勝った」ということは、タイトルホルダーが今年のクラシック戦線の中心に躍り出たということになる。
一見、G1初制覇を目指す若手騎手にとっては、これ以上ないシチュエーションにも思えるが、横山武騎手は「えー、本番はまだこれからですし、あの……」と言葉を詰まらせると、最後には「ちょっと難しいですね、その質問は」と苦笑いで”回答拒否”した。
「横山武騎手のお手馬には、デビュー前からベタ惚れして3連勝で共同通信杯(G3)を勝ったエフフォーリアがいますからね。今回のタイトルホルダーの騎乗は、あくまで主戦の戸崎圭太騎手がドバイ遠征の影響(2週間の自主隔離)で騎乗できないための代打的な位置づけでした。
つまり横山武騎手にしてみれば、勝つには勝ったが、タイトルホルダーという『新たな強敵』が出現したということにもなるわけです。『ちょっと難しい』と答えたのは、やはりエフフォーリアを意識したからでしょうね」(競馬記者)
思わず脳裏に”恋人”のことがよぎったのか、インタビュー序盤の歯切れの良さはどこへやら……。タイトルホルダーのセールスポイントについて聞かれた際も「まだ調教2回と競馬1回で合計3回しか乗ってないので。だから、この馬のすべてを把握しきっているわけではない」と曖昧なコメント。
すぐに「それでも調教でもすごく乗りやすくて。動きとか、パワーすべてが良いです」とフォローしたが、やはりデビュー前から何度も騎乗し、完全に手の内に入れているエフフォーリアとの差を意識したのではないだろうか。
最後には「なんとかいい形でトライアルを勝ててよかったです。本番もなんとか頑張りたいと思います。よろしくお願いします」と具体的なパートナーを明かさないままインタビュー終了……。
「3連勝でG3を勝ちましたし、もちろん次はG1を勝てるように頑張っていきます!」とダブルピースで締めくくった、エフフォーリアの共同通信杯とは大違いだった。
「これにはタイトルホルダーを管理する栗田徹調教師も『本人が決めることですからね』(中日スポーツ)と横山武騎手の事情を考慮してあげていたそうです。声もそうですが、こういった本心を隠せないというか、やや口下手なところもお父さんの横山典弘騎手とよく似ていますね(笑)」(同)
果たして、絶好調の横山武騎手がクラシックのパートナーに選ぶのはタイトルホルダーか、それともエフフォーリアか――。いずれにせよ、G1初制覇を目指す若武者にビッグチャンスが巡ってきたことは間違いなさそうだ。