「鮮烈な一刀両断」か「圧倒的な暴力」かーー皐月賞で最強・ディープインパクト「後継者争い」の火蓋が切られる


 サトノダイヤモンドもまた、3戦3勝で皐月賞に向かう。3戦ともまったく本気を出すことなく、他馬を涼しい顔でねじ伏せてしまった印象。

 特に3戦目のきさらぎ賞は圧巻だった。レプランシュ、ロイカバードという期待馬も出走する中、中段に構えたサトノダイヤモンドは直線に入ってからはまさに一人舞台。鞍上C.ルメール騎手の少しのアクションで外から他の馬を置き去りにし、後続が並びかける予感さえも与えなかった。関係者も競馬ファンも驚愕のレースぶりである。

 マカヒキが「一刀両断」というなら、サトノダイヤモンドは無慈悲なまでの「圧倒」。もはや暴力的なイメージすら受けるサトノダイヤモンドの前では、他馬は絶望する以外に選択肢がないのではとすら考えてしまう。雄大な馬体もまさに「王」に相応しい風格をかもし出しているのだ。「絶対的」という雰囲気だけなら、サトノダイヤモンドこそディープインパクトに近いといえるのではないか。

 マカヒキとサトノダイヤモンド――奇しくもまったく異なる印象を持つ「ディープの仔」が、17日の皐月賞で激突する。もちろん敵は他に何頭も存在し、いつ敗北を喫してもおかしくないレベルのレースである。しかし、「日本競馬史上最強」の血を色濃く受け継ぐ2頭が無様なレースをするとも思わない。間違いなくファンを沸かせてくれるはずだ。

 そして、その先に「ディープインパクトの後継者」としての道がある。戦績だけですべてが決まるわけでは毛頭ないが、「王座」を受け継ぐことができるのはいつの時代もたった1人なのだ。皐月賞は、間違いなくその指標の一つとなるだろう。
(文=利坊)

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