JRA 3月で“強制卒業”も!? 史上初の「菜七子ルール」スタートの女性騎手登場「見習騎手」の過酷な現実に迫る!
先週7日(日)阪神6レースで勝利を挙げた団野大成騎手(栗東・斉藤崇史厩舎所属)。記念すべきJRA通算100勝となり、地方の交流競走でマークした1勝と合わせると合計101勝を達成。晴れて「見習騎手」を卒業した。
デビュー3年目を迎えた団野騎手は、今年1月に日経新春杯(G2)優勝。重賞初制覇を果たすなど、順風満帆の騎手人生を歩んでいるようにみえる。しかし「星(減量の印)が取れてからが、ジョッキーの真価が問われる」といわれるように、☆印(平場の負担重量1キロ減)がなくなる今週の騎乗から、本当の勝負が始まるのだ。
今回は、知っているようで知らない「見習騎手」のルールについて紹介しよう。
JRAでは騎手免許取得5年未満で、勝利数が100回以下の騎手を「見習騎手」と呼んでいる。先週デビューした新人騎手のように、経験の浅い騎手たちが、いきなりこの道何十年のベテラン騎手と互角に戦えるわけがない。そこで「見習騎手」に与えられた恩恵として、勝利数に応じて負担重量を軽くする減量制度が定められている。
前提として、レースに名称がついていない一般競走が対象。G1をはじめとする重賞や特別競走、もちろんハンデ競走には適用されない。
また、勝利数に応じて減量値が異なる点もポイント。男性騎手の場合、勝利数30回以下は3キロ減(▲)、31回以上50回以下は2キロ減(△)、51回以上100回以下は1キロ減(☆)と決まっている。
一方、2019年3月から女性騎手の減量制度が大幅に変更された。先週デビューした古川奈穂騎手や永島まなみ騎手は、勝利数50回以下で4キロ減(★)からスタート。勝利数51回以上100回以下では3キロ減(▲)が適用される。
女性騎手の先輩・藤田菜七子騎手は、昨年1月に通算100勝超えを記録して、男性騎手でいう1キロ減(☆)を卒業。ただし新たに認められた「女性騎手は恒久的に2キロ減(♢)」のルールが適用され、2キロ減が続いている。
ちなみに混同しやすいのが「若手騎手」について。これは免許取得7年未満の騎手を指す用語で、5年を過ぎると勝利度数に関わらず減量特典は無くなることから、「若手騎手」でも減量の恩恵が受けられないジョッキーがたくさんいるのだ。
厳しい現実として、減量特典があるデビュー5年目までに好結果を残せなければ、減量が無くなった時期から騎乗依頼はグッと減少するケースが大多数。「1キロ違えば0.2秒差、もしくは1馬身の差がつく」といわれる斤量の差。特に未勝利戦など、出走馬の実力差が少ないレースでは、調教師からの騎乗依頼は当然ながら減量特典のある騎手に集まる。事実、平地レースの騎乗数が激減して、障害競走専門へとシフトする騎手も多い。