JRA C.ルメール高松宮記念(G1)捨てても手放したくない「怪物」の存在!? 武豊レシステンシアの裏で自身は「不参戦」濃厚の怪
28日に中京競馬場では春のスプリント王決定戦・高松宮記念(G1)が行われる。
なかでも大きな注目を集めると考えられるのが、先月の阪急杯(G3)をレコード勝ちしたレシステンシアだ。本番に向けて好発進を決めたものの、主戦の北村友一騎手はクロノジェネシスで27日のドバイシーマクラシック(G1)に参戦。高松宮記念での騎乗が不可能となっていたが、陣営は武豊騎手とのコンビで参戦を発表した。
レシステンシアと武豊騎手のコンビは、デアリングタクトの2着に入った昨年の桜花賞(G1)以来。昨年、G1勝利に手が届かなかった武豊騎手、レシステンシアにとっても力の入る一戦となりそうだ。
その一方、武豊騎手がトップジョッキーの一人であることは確かだが、NHKマイルC(G1)でレシステンシアとコンビを組んだC.ルメール騎手とは同じエージェント。リーディングを独走するルメール騎手の優先度が高いと推測されるだけに、ルメール騎手が選ばれなかったことには少々違和感がある。
事実、昨年の桜花賞で武豊騎手がレシステンシアの手綱を執ったが、次走のNHKマイルCはルメール騎手が騎乗した経緯もある。今回の乗り替わりの候補として名前が挙がって不思議ではないはずだ。
ルメール騎手には昨年の高松宮記念に出走した絶対的なお手馬グランアレグリアがいるとはいえ、今年は大阪杯(G1)からの始動が発表済み。現在のところ、今年の高松宮記念に出走予定馬で、ルメール騎手が騎乗を予定している馬はおらず、このままだと不参戦が濃厚となりそうな様相である。
そこで気になるのが高松宮記念当日の裏開催だ。中山競馬場で行われるメインレース・マーチS(G3)に3連勝中のアメリカンシード(牡4、栗東・藤岡健一厩舎)が出走を予定しているのだ。
同馬は1月のアレキサンドライトS(3勝クラス)をノーステッキの5馬身差で大楽勝した素質馬。そのあまりの強さに、ルメール騎手も「楽にマイペースで走っていました。前でまだ物見をしたり余裕がありました」と余裕のコメント。「自分の仕事が分かっていて賢い馬です。強い競馬だったと思います」と続けたことからも、アメリカンシードに対するルメール騎手の評価の高さが伝わってくる。
「アメリカンシードは芝でも皐月賞まで歩を進めた実力馬ですが、ダートで別馬のように一変しました。ここまでダートで3戦して、いずれもワンサイドゲームとまだ底を見せていません。マーチSでもおそらく圧倒的な人気を集めるでしょうが、ルメール騎手は高松宮記念ではなく、こちらに乗ることが濃厚です。
また、同馬の馬主は吉澤ステーブルで”ルメールファースト”のノーザンファーム系とは異なります。他の騎手でマーチSを勝利した場合、ルメール騎手といえども次走で乗れるとは限らないため、誰にも渡したくないということでしょう」(競馬記者)
ルメール騎手のダート戦線のお手馬にはフェブラリーS(G1)を快勝したカフェファラオがいるが、まだ絶対的な存在とはいえない。昨年のチャンピオンズC(G1)や大井のジャパンダートダービー(G1)で敗れたように、東京以外では脆さも見せている。
フェブラリーSを振り返ってみれば、カフェファラオの勝利は見事だったものの、2着のエアスピネルとは0秒1差と僅差での勝利。むしろルメール騎手の好騎乗が光った内容でもあり、誰が乗っても勝てたと思えるほどのインパクトは残せなかった。
ダートのトップクラスであるクリソベリル、チュウワウィザードとの対決を見据えるとなると、ルメール騎手としてはダートの怪物候補を確保しておきたい思惑もありそうだ。