日経賞(G2)武豊→石橋脩「弱小世代」ワールドプレミアは菊花賞馬の意地を見せ、主役となって天皇賞・春(G1)へ向かえるのか?
27日、中山競馬場で行われる日経賞(G2)にワールドプレミア(牡5、栗東・友道康夫厩舎)は、今回が初コンビとなる石橋脩騎手を鞍上に迎え、出走を予定している。
今年の日経賞出走馬の中で唯一のG1ホースであるワールドプレミアは19年菊花賞(G1)以来となる勝利を飾り、天皇賞・春(G1)への弾みを付けたいところだろう。
菊花賞優勝、有馬記念(G1)3着とスターへの階段を登り始めたワールドプレミアだが「好事魔多し」、昨年はジャパンC(G1)まで長期休養を余儀なくされた。
その理由を友道師は「菊花賞ってダメージのある競馬なので、あそこでもうちょっと間隔を空けてあげればよかったかな、と結果的に思います。いつも真剣に走る馬で、頑張りすぎて、菊花賞の疲れとかが色々と出た感じです」と後に語っている。
結局、昨年は復帰戦のジャパンCをアーモンドアイから0.8秒差6着、有馬記念をクロノジェネシスから0.6秒差の5着と僅か2戦で終えた。
とはいえ長期休養明けで国内最高峰のG1レースを連戦し、どちらも一定の結果をもたらしたのは、ワールドプレミアの確かな素質を信じ、決して焦らず調整を続けた陣営の努力の賜物と言えるだろう。
かくしてG1を2回使い、「21年始動戦」へと駒を進めるワールドプレミアだが、今度は「最愛のパートナー」が不運に見舞われてしまう。デビューから一貫して手綱を取って来た武豊騎手が、20日の阪神10Rの発馬ゲート内で騎乗馬が暴れ、右足甲を骨折してしまったのだ。武騎手は休養に入り、石橋騎手への乗り替わりが発表された。
幸い調整過程は順調で、最終追い切りでは藤岡康太騎手を背にCウッドで6ハロン83秒0-12秒1をマーク。友道師は「徐々に良くなってきている。実戦に行けば力を発揮してくれる馬だし、相手なりに走ってくれると思う。今回は不安材料がないし、いいスタートを切って次につなげたい」とコメントを残している。
現5歳世代牡馬の芝G1ホースはアドマイヤマーズ(香港マイル、NHKマイルⅭ、朝日杯FS)、サートゥルナーリア(皐月賞、ホープフルS)、ロジャーバローズ(日本ダービー)、ワールドプレミア(菊花賞)の4頭。
昨年のG1優勝馬はおらず、「春秋グランプリ制覇」のクロノジェネシスや「最優秀短距離馬」のグランアレグリアに代表される「牝馬が強い世代」と言われて久しい上、ワールドプレミア以外の3頭は既に現役を退いている。
もはやワールドプレミアは同世代の牡馬にとって「最後の砦」、このままでは自身も「弱小世代の菊花賞馬」のレッテルを貼られてしまいかねない。
日経賞には、こちらも松山弘平騎手との新コンビで「強い5歳牝馬」カレンブーケドールも出走を予定しているが、相手にとって不足はないだろう。春の盾獲りへ。「強い菊花賞馬」の復活に期待したい。