JRA【阪神牝馬S(G2)展望】今年はデアリングタクト世代が中心!? 桜舞う仁川の舞台でマジックキャッスルとリアアメリアが激突
10日、阪神競馬場では阪神牝馬S(G2)が開催される。5月のヴィクトリアマイル(G1)を見据え、4歳以上の有力牝馬が集まるこのレース。今年は“デアリングタクト世代”が中心だ。
昨年の秋華賞(G1)では、10番人気ながらデアリングタクトの2着に好走したマジックキャッスル(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)。その後は一息入れ、年明け初戦となった愛知杯(G3)で重賞初制覇を遂げた。
デビュー勝ちは1200mだったにもかかわらず、オークス(G1)5着という実績もあり、距離は万能。ただし兄姉はマイルを中心に活躍しており、本質的にはマイラーとみていいだろう。ならば、前走から2ハロン短縮で臨むここでは、さらにパフォーマンスを上げる可能性も十分考えられる。
9戦中、掲示板を外したのは12着に沈んだ桜花賞(G1)のみ。それ以外の8戦では堅実な末脚を武器に上位争いの常連である。
陣営は春の大目標としてヴィクトリアマイルを掲げており、ここで無様な競馬を見せるわけにはいかないだろう。余程の前残り馬場にならない限りは、馬券圏内は濃厚か。
同じくデアリングタクト世代のリアアメリア(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)。桜花賞以来となるマイル戦で巻き返しを図る。
2年前の6月には今回と同じ阪神マイルでデビュー。出遅れながらも余裕綽々で2着馬に8馬身差の圧勝劇を演じた。その後、アルテミスS(G3)を上がり33秒0の豪脚で制し、その時点では、世代トップクラスとまで言われていた存在だ。
しかし、阪神JF(G1)で6着に敗れると、牝馬3冠では、10、4、13着と一度も馬券に絡むことなく終えた。近2走は、エリザベス女王杯(G1)と中山牝馬S(G3)で古馬相手に連続7着とそのポテンシャルを発揮できないまま、時間だけが過ぎている。
ただし前走の敗因は明確だ。初コンビを組んだ福永祐一騎手はレース後、「走りにくそうだった。この馬場(不良)では仕方ない」とコメントしているように、能力を発揮できなかった。それだけに、良馬場ならまだ見限るわけにはいかない。前走から1ハロンの距離短縮も好材料で、ここは復活への最後のチャンスになるかもしれない。
1つ上の世代からはイベリス(牝5歳、栗東・角田晃一厩舎)に注目だ。前走の京都牝馬S(G3)では好スタートを切り、ハナを主張。最後まで脚色は衰えることなく、まんまと逃げ切り、1年10か月ぶりの美酒を味わった。
4勝のうち3勝を阪神で挙げており、通算成績も「3-0-2-5」という阪神巧者。酒井学騎手が騎乗した近3走は全て逃げの手を打っており、ここでもハナを主張するだろう。前走と同じように気分良く直線を迎えることができれば、重賞3勝目も見えてくる。
課題は、前走から1ハロンの延長と外回りになる点。これを克服できれば、ヴィクトリアマイルにもつながっていくはずだ。
昨年のオークスでデアリングタクトに次ぐ2番人気に支持された素質馬のデゼル(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)も上位をうかがう。前走の初音S(3勝クラス)では断然人気に応え、見事な差し切り勝ち。昨秋のローズS(G2)以来となる重賞挑戦で2連勝を狙う。初コンビとなる川田将雅騎手は、持ち味の末脚を引き出すことができるか。
このほかには、叔母にジェンティルドンナがいる良血馬のドナウデルタ(牝5歳、栗東・高野友和厩舎)、前走の京都牝馬Sで2着に食い込み復調の兆しを見せたギルデッドミラー(牝4歳、栗東・松永幹夫厩舎)などが出走を予定している。
ヴィクトリアマイルに向けた重要な前哨戦を制するのは果たしてどの馬か。発走は10日15時35分を予定している。