有馬記念、「必勝の1枠1番」武豊キタサンブラックついに敗れる。度重なる過剰な幸運がアイドルホースの「天命」に落とした影
そういった意味で有馬記念のキタサンブラックは、何もかもがあまりにも順調に行き過ぎたため、逆にそれまで神懸っていた「天運」に僅かながら陰りがあったのではないだろうか。
結果的にだが、今回の敗戦は本馬がオグリやディープのような「アイドルホースになるにはまだ早い」と言われているような気がした。
無論、キタサンブラックも、その陣営も何も非難されるべきことはしていない。むしろ今年の競馬を大きく盛り上げた存在として、賞賛されるべきですらある。だが、「天運」や「運命」というものは自力で推し図るには限界があるものであり、いくら善行を積んだとしても、それが必ずしも幸運となって返ってくるわけではない。
一言で述べれば、今回のキタサンブラックには運がなかった。
だが、それもキタサンブラック自身だけでなく、周囲の様々な思いが複雑に絡み合って生まれた結果なのだろう。負けてなお強しという結果だったが、今回の有馬記念の「クビ差」には、単純な能力比較とはまた違った競馬の難しさや面白さが凝縮されていたのではないだろうか。