JRA 武豊ワールドプレミア降板!? 天皇賞・春(G1)復帰も「騎乗予定馬はゼロ」。2017年、最下位に沈んだ「エアスピネルの悪夢」再来も
7日、戦線離脱中の武豊騎手が自身の公式ホームページを更新。5月復帰へ、改めてその決意を綴っている。
「ケガの回復は想像以上に順調です。医師、トレーナーの意見もよく聞いたうえでの見通しですが、5月1、2日の天皇賞ウイークからの実戦復帰を考えています」
先月20日の阪神10Rに騎乗した際、ゲート内で馬が暴れた影響で右足を負傷した武豊騎手。翌日から騎乗を取りやめ、5月頃の復帰を目指していたが、本人の想像以上に経過は良好。5月2日に行われる天皇賞・春(G1)に間に合いそうなことは、ファンにとっても大きな朗報に違いない。
しかし、気になるのは「とはいえ、現時点での騎乗予定馬はゼロ」という武豊騎手の言葉だ。
武豊騎手といえば、今年の天皇賞・春の有力候補に挙がっている2019年の菊花賞馬ワールドプレミアの主戦としても知られている。仮に武豊騎手が天皇賞・春に間に合うようなら、当然ワールドプレミアとのコンビ結成が期待されるが「現時点での騎乗予定馬はゼロ」というのは、一体どういったことだろうか。
「ワールドプレミアは2018年のデビューからずっと乗り続けており、武豊騎手にとってもお気に入りのお手馬です。しかし、先月に武豊騎手が負傷離脱した関係もあって、前走の日経賞(G2)は石橋脩騎手が手綱を執ることに。スタートで後手を踏みながらも3着と、今年の始動戦としてはまずまずの結果でした。
まだワールドプレミアの天皇賞・春の鞍上は正式に発表されていませんが、武豊騎手の復帰が不透明だった以上、陣営としては有力な騎手を確保する意味でも第1候補は石橋騎手だったはず。武豊騎手が『現時点での騎乗予定馬はゼロ』と語ったのは、そういった事情がありそうです」(競馬記者)
ただ、石橋騎手への乗り替わりは代打的な意味合いが強く、そこに主戦の武豊騎手が復帰するとなると話が変わってくるのは想像に難しくないだろう。
ただ、それでも武豊騎手が確実にワールドプレミアに騎乗できるのかというと、必ずしもそうではないのかもしれない。
「2017年のマイルCS(G1)で似たようなことがありましたね。武豊騎手は2番人気のエアスピネルの主戦でしたが、前週に落馬負傷……。マイルCSの週に間に合わせて復帰しましたが、エアスピネル陣営は『武豊騎手が万全ではない』と判断して、結局R.ムーア騎手が騎乗することになりました。
ワールドプレミア陣営としても乗り慣れた武豊騎手を起用したい思いはあるでしょうが、チャンスのある有力馬である以上、武豊騎手の“リハビリ”に付き合うつもりはないでしょう。主戦騎手への乗り替わりが本線であるものの、焦点は武豊騎手の状態になるでしょうね」(同)
なお、この年のマイルCSはエアスピネルが一度は先頭に立ったものの、ゴール寸前のところでペルシアンナイトに強襲され、ハナ差の2着。一方の武豊騎手はジョーストリクトリで同レースに参戦したものの、やはり万全ではなかったのか最下位に敗れている。
そんな事情もあってか「(天皇賞・春の)前週から調教にも乗るつもりでいるので、そこでアピールできるようにリハビリにさらに励んでまいります」と、改めて決意を語っている武豊騎手。
果たして、主戦騎手のアピールはワールドプレミア陣営に届くのか。人気No.1ジョッキーの復帰が、今から待ち遠しい。(文=大村克之)
<著者プロフィール>
サイレンススズカに感銘を受け、競馬にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。